残像(読み)ザンゾウ(その他表記)after image

デジタル大辞泉 「残像」の意味・読み・例文・類語

ざん‐ぞう〔‐ザウ〕【残像】

外部刺激がやんだあとにも残る感覚興奮のこと。主として視覚についていう。
[類語]映像画像画面実像虚像

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「残像」の意味・読み・例文・類語

ざん‐ぞう‥ザウ【残像】

  1. 〘 名詞 〙 刺激を与えて感覚が生じた後、その刺激を除去しても感覚が残っていること。原刺激と同質、または異質な感覚経験が起こることがある。主に視覚についていう。残感覚。ざんしょう。〔物理学術語和英仏独対訳字書(1888)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「残像」の意味・わかりやすい解説

残像 (ざんぞう)
after image

刺激対象を一定時間注視した後に,目を閉じたり他所に目を転じたときに生じる視覚的効果をいう。これには〈正(陽性)の残像positive after image〉と〈負(陰性)の残像negative after image〉がある。〈正の残像〉とは原刺激が強く短いときにおこり明暗が同じ方向のものである。〈負の残像〉とは明暗が逆転したもので色相補色になることが多い。また残像は外界の任意の距離にある平面上に投射してみることができる。そのとき見かけ上の大きさは距離に比例して増大する。これを〈エンメルトの法則Emmert's law〉という。また一定方向に運動している対象をしばらく注視してから静止対象をみると,それが逆方向に動いてみえるのを〈運動残像movement after image〉(または〈運動残効〉〈滝の錯視〉)という。残像は刺激除去直後の数秒間持続する普遍的現象であるが,特定の人にのみ数時間,数日後にも現れることがあり,これを〈直観像eidetic image〉という。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「残像」の意味・わかりやすい解説

残像
ざんぞう
afterimage 英語
image consécutive フランス語
Nachbild ドイツ語

電灯を注視してから壁を見ると、壁の上に電灯の像が現れる。これを残像という。このように、刺激が除去されたあとも興奮が残り、元の刺激と同質(陽性残像)あるいは異質(陰性残像)の感覚が生じる。この残像の見かけの大きさは、投影面までの距離に比例し、これをエンメルトの法則Emmert's lawという。また、動くものを見たあとで静止したものを見ると、前に見たものと反対の方向に動くように見えるが、この現象を運動残像という。たとえば、滝の流れをしばらく見たあとで視線を周囲の静止面に移すと、その面が滝の流れと反対方向へ移動して見える現象は、運動残像の例である。

 残像は、いろいろな明るさ、形、大きさなどの変容の像(かたち)で現れる。複雑な形の元の刺激は単純な形の残像に変容し、投影面に他の図形があると、残像はそのほうへ引き寄せられる。また、刺激の除去後、残像は短時間だけ持続するが、直観像は数日後でも現れることがある。

[今井省吾]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「残像」の意味・わかりやすい解説

残像
ざんぞう
afterimage

刺激を止めても,その感覚が残る現象を残感覚というが,光感覚で顕著であって,この場合を残像という。たとえば,電灯を短時間見つめたのち,眼を閉じると原像と同一位置に像が残る。これを陽性残像という。明暗の強い格子を見たあとすぐに白壁を見つめると,明暗が逆転した像が残る。これを陰性残像という。色光の場合には同一色の陽性残像と補色的残像である陰性残像が経験される。残像は刺激が強いほど長く残り,その消失は一様でなく,明暗が交互に消失する。映画やテレビなどで画像が連続的に動くように見えるのは残像を利用したものである。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「残像」の意味・わかりやすい解説

残像【ざんぞう】

光刺激で直接認められる映像(原像)に対し,光刺激を止めた後に引き続いて感じられる映像をいう。刺激と同質の感覚の残像を正の(陽性)残像,刺激と明暗が反対,または補色的な感覚の残像を負の(陰性)残像という。前者網膜の興奮状態の持続に原因する。後者は明るさに対応した網膜の感受性の低下(明順応),暗さに対応した感受性の上昇(暗順応)が起こるために,明暗が逆転して感じられるといわれる。そのほか,運動する物体を注視したあと静止対象を見たときに逆方向に動いて見える運動残像もある。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

デジタル大辞泉プラス 「残像」の解説

残像〔曲名〕

日本のポピュラー音楽。歌は日本のバンド、flumpool(フランプール)。2010年発売。作詞:山村隆太、作曲:阪井一生。TBS系で放送のドラマ「ブラッディ・マンデイ 第2シーズン」の主題歌。

残像〔小説〕

米国の作家ジョン・ヴァーリイのSF短編集(1978)。原題《The Persistence of Vision》。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

ASCII.jpデジタル用語辞典 「残像」の解説

残像

光の刺激を見つめた後、一定時間、視神経に画像が残る現象。テレビの映像の変化が、連続したものに見えるのも、残像によるものである。

出典 ASCII.jpデジタル用語辞典ASCII.jpデジタル用語辞典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android