アメリカ航空宇宙局が中心になって,スペースシャトルに搭載して打ち上げた,口径2.4mの軌道望遠鏡。銀河の赤方偏移を発見したE.ハッブルにちなんでハッブル望遠鏡と呼ばれている。大気圏外で恒星や銀河からくる波長110nmから1mmにわたる電磁波(紫外・可紫・赤外・サブミリ波領域)を,口径の干渉限界いっぱいの解像力で観測できるために,28等級に及ぶ微光天体を検出する能力をもつ。F24のリチクレチアン式カセグレン焦点は,写野が30′近くあるが,これを五分割し,中心部に直接撮像カメラ,四分した周辺部には,高分散分光器,高速測光器,微光天体分光器など,4種の観測器が装着された。1997年にはこれら装置の一部を赤外カメラなどで置き換えた。向きを定めるには望遠鏡を含む軌道天文台全体を姿勢制御する。解像力は可視域で0.″04,指向性能は0.″007。1986年に高度約600kmの周回軌道に打ち上げる予定だったが,86年のスペースシャトル事故のため延期して91年に打ち上げられた。寿命は15年の予定。データは,メリーランド州ボルティモアに新設されたスペーステレスコープ・サイエンス・インスティチュートにより処理管理されている。
執筆者:小平 桂一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…原理はふつうの望遠鏡と違わないが,観測対象が日周運動をする天体であるから,その観測方法,対象に応じて動く追尾装置を備えた架台にのせてあり,またドームと呼ばれる特別の建物の中に格納されている。最近では光より波長の長い電磁波で見る赤外線望遠鏡,電波望遠鏡あるいは人工衛星に搭載して地球大気外から観測を行うスペーステレスコープspace telescopeも広義の天体望遠鏡に含めている。
[発明と発達]
望遠鏡は1608年にオランダで発明されたが,09年にはG.ガリレイがこの話を聞いて自作し,天体観察に利用して種々の発見をした。…
…20世紀後半に入ってからの銀河天文学の急速な発展を反映して,1970年代には,チリのアンデス山脈やハワイのマウナ・ケア山などの世界的な天文観測適地に,続々と大型光学・赤外望遠鏡が建造された。91年にスペースシャトルによって打ち上げられた口径2.4mのスペーステレスコープは,空気の揺ぎのないことを生かしてf/24という大口径比で,逆に銀河を個々の星に解像してしまうことをねらっている。 ふつうの銀河中の星間ガスや分子雲,また高エネルギー粒子からのシンクロトロン放射の観測には,電波望遠鏡が活躍するほか,特異銀河については,大気圏外からのX線,紫外線領域の望遠鏡,さらにはγ線望遠鏡も重要な情報を提供する。…
…原理はふつうの望遠鏡と違わないが,観測対象が日周運動をする天体であるから,その観測方法,対象に応じて動く追尾装置を備えた架台にのせてあり,またドームと呼ばれる特別の建物の中に格納されている。最近では光より波長の長い電磁波で見る赤外線望遠鏡,電波望遠鏡あるいは人工衛星に搭載して地球大気外から観測を行うスペーステレスコープspace telescopeも広義の天体望遠鏡に含めている。
[発明と発達]
望遠鏡は1608年にオランダで発明されたが,09年にはG.ガリレイがこの話を聞いて自作し,天体観察に利用して種々の発見をした。…
…天体現象を対象とした自然科学の一分野であり,最古の時代から発達した学問であった。古代人のもっていた知識は,主としてその実生活の必要と結びついて得られたものであり,天文学もその最初の段階は季節を正し,月のみちかけを知るという暦の問題から始まっている。こうした暦の知識は農業社会においてとくに必要なものであり,天文学の芽ばえは中国,バビロニア,エジプト,インドなどの農業国家において発生した。しかしこれらの古代国家においては,知識人と称するものは帝王を中心とする少数の支配階級であり,支配階級は暦の作製をもって多数の人民を支配する一手段と考えた。…
※「スペーステレスコープ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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