改訂新版 世界大百科事典 「スホラリオス」の意味・わかりやすい解説
スホラリオス
Geōrgios Scholarios
生没年:1405-72以後
オスマン帝国治下の初代コンスタンティノープル総主教としてゲンナディオス2世Gennadios Ⅱと称する。古典式発音ではスコラリオス。ビザンティン帝国末期最大の神学者。若くしてラテン語を学び,トマス・アクイナスの神学を知り,俗人として宮廷で説教,また法律学を学んで,全国裁判官,皇帝秘書となる。フェラーラ・フィレンツェ公会議では東西教会統一派に立つが,1443-44年以後その決定的な反対派に転じ,皇帝コンスタンティノス11世により修道院に送られ,ゲンナディオスの修道士名を帯びる。53年のコンスタンティノープル陥落で捕虜となるが,まもなく総主教に据えられ(1453-54),後に再度就任。教会統一,パラマス主義,ユダヤ教,プレトンの新異教主義などに反対する論争書,神の摂理に関する教義神学書を著し,トマス・アクイナス,ギルベルトゥス・ポレタヌス,ペトルス・ヒスパヌスのような西方神学者の著書の翻訳などを残した。
執筆者:渡辺 金一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報