説教(読み)セッキョウ

デジタル大辞泉 「説教」の意味・読み・例文・類語

せっ‐きょう〔‐ケウ〕【説教】

[名](スル)
宗教の教義・教典を、信者などに、口頭で説き明かすこと。また、その話。「牧師が礼拝で説教する」
教え導くために言い聞かせること。また、堅苦しい教訓をいう語。「親に説教される」
[類語](1説法講話談義講演講座進講法話道話訓話訓示嘉言/(2いさめる意見諫言諭す諫死注意𠮟責諌止苦言忠言忠告勧告警告心添えいまし戒めるたしなめるとがめる言い聞かせる言い含める因果を含めるくぎを刺す

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精選版 日本国語大辞典 「説教」の意味・読み・例文・類語

せっ‐きょう‥ケウ【説教】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 神仏の教えを説き聞かせること。宗教の趣旨を説き聞かせること。また、その話。説経。
    1. [初出の実例]「おほよそ一代の説教に、すべてみえざるところは、諸仏のあひ是非する仏語なり」(出典:正法眼蔵(1231‐53)十方)
    2. 「理学も歴史も哲学も皆希望を説教しつつあるに何ぞ汝独り失望教を信ずるや」(出典:基督信徒の慰(1893)〈内村鑑三〉一)
  3. 道理を語りきかせること。訓戒すること。また、多く「おせっきょう」の形で、かた苦しい話や意見めいた話をあざけっていう語。
    1. [初出の実例]「折角誘って呉れるものを、そんな挨拶をする法はないぜと、又長い説教(セッケウ)が始まりさうで」(出典:満韓ところどころ(1909)〈夏目漱石〉二九)
    2. [その他の文献]〔漢書‐梁丘賀伝〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「説教」の意味・わかりやすい解説

説教
せっきょう
preaching 英語
sermon 英語
prédication フランス語
sermon フランス語
Predigt ドイツ語

宗教を構成する基本的要素として思想儀礼教団などがあげられるが、説教はその宗教思想を口頭で伝達するたいせつな手段として、多くの歴史宗教や世界宗教で、聖職者や教団人のもっとも重要視するところとなっている。

 とくに、宗教儀礼が信者の感覚的、情緒的側面を満足させる働きを担っているのに対して、説教は、信者に対しその宗教のもつ思想内容を伝達することで知的な側面を充足させる、という役割を果たしているといえる。説教と同等の役割をもつものとして、文書による伝達があるが、口頭による説教はより直接的に信者に訴えることができるという意味で、宗教伝道には不可欠の手段となっている。仏教においては、説経、説法、説戒、談義、法談、勧化、法座、等々とよばれてきた。日本仏教における説教は文献上では、598年(推古天皇6)の聖徳太子勝鬘経(しょうまんぎょう)についての講経に始まるという。その後、中世になると、単に教説を説いたり経典の内容を説明するという説教、いわば法話とは別に、音楽性や芸能性を帯びた説教が出現してきた。安居院(あんごいん)流、三井寺(みいでら)流とよばれ、その後の日本伝統芸能の基礎ともなったとされている。

 キリスト教においては、ユダヤ教の伝統を引き継ぎ、すでにその発祥当初から説教は、聖餐(せいさん)とともに重要なものとなっていた。とくに宗教改革をもたらしたプロテスタントは、外面的、形式的な儀礼中心の信仰を否定し、内面的、合理的な信仰を強調したため、説教をとりわけ重要視することになった。そのため、キリスト教では、他宗教以上に説教が体系的に研究・整理されることになった。キリスト教では、説教の目的、内容、形態によって、伝道説教、講解説教主題説教、教理的説教、倫理的説教、弁証論的説教、日課説教、自由説教などに分けられている。

[星野英紀]

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改訂新版 世界大百科事典 「説教」の意味・わかりやすい解説

説教 (せっきょう)
preaching
sermon

一般に宗教集会において,その教えを信徒および未信徒に説く言葉。仏教では,説法,唱導,説経など諸種の呼び名がある。今日,説教をその布教の最も重要な手段として重視するのは,プロテスタント教会である。古来キリスト教会では,集会(礼拝)において,聖書朗読と,その聖書の言葉の意味を会衆に説き明かして聞かせる説教とが重視されてきた。カトリック教会や東方正教会では,説教の重要性が薄れ,これを再び強調したのが宗教改革である。プロテスタント教会では,教会がたてた説教者が行う説教を聞き,そこに神の語りかけを聞き取ることが,礼拝のひとつの中心をなす。牧師はこの言葉を語る奉仕に専念すべき務めをもつといわれる。聖書の言葉の内容を現代に生きる人々にふさわしく語り直すことがその任務である。聖書の言葉の説き明かしに主眼を置く講解説教と,何かひとつの主題を論じる主題説教など,説教にはいろいろな種類がある。
説教師
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「説教」の意味・わかりやすい解説

説教
せっきょう
praedicatio; preaching

聖書が証言する福音を生きた真理として語る行為。キリスト教の教理および信者の生活へと人々を教え導くもの。初代教会ではすでに聖餐とともに礼拝の重要な要素であった。

説教
せっきょう

説経,説法ともいう。法会の際,法師が経典をやさしく説くこと。専門化された民衆教化僧は唱導師,説教師と呼ばれ,江戸時代には音楽に合せた説経節なども現れた。

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普及版 字通 「説教」の読み・字形・画数・意味

【説教】せつきよう

教える。

字通「説」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の説教の言及

【唱導】より

…中国においても盛んであって,廬山(ろざん)の慧遠(えおん)はその達人であったという。日本古代の教化(きようげ)僧は唱導を事としたが,おなじく教理を説く説教ははじめ経典の内容を解説した。これに対して唱導は音韻抑揚で譬喩談を語った。…

【節談説教】より

…仏教で経典や教義を説くための話芸的技巧。ことばに(ふし)(抑揚)をつけ,洗練された美声とジェスチャー(身ぶり)をもって演技的表出をとりながら聴衆の感覚に訴える詩的・劇的な情念の説教である。仏教伝来のときから行われたと推定されるが,天台宗の澄憲(ちようけん)(?‐1203)・聖覚(しようがく)(1167‐1235)父子が樹立した安居院(あぐい)流(安居院)と寛元(1243‐47)のころ定円が創始した三井寺(みいでら)派のことが《元亨(げんこう)釈書》に見える。…

※「説教」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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