スルガ銀行不正融資問題

共同通信ニュース用語解説 「スルガ銀行不正融資問題」の解説

スルガ銀行不正融資問題

シェアハウス「かぼちゃの馬車」への投資を巡りスルガ銀が行った融資で、審査書類改ざんなどの組織的な不正行為が発覚アパート、マンション融資でも同様の不正が見つかった。神奈川、静岡を中心に店舗展開し、低金利下でも高収益を続け「地銀優等生」と言われたが、一連の問題を受け、代々トップを務めた創業家の岡野一族が経営から退いた。シェアハウスなどを購入した投資家らが、同行や不動産会社に損害賠償などを求め訴訟を起こしている。

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知恵蔵 「スルガ銀行不正融資問題」の解説

スルガ銀行不正融資問題

静岡県沼津市に本店がある地方銀行、スルガ銀行が、シェアハウスやアパートなどの投資用不動産への資金を必要とするオーナーに対して、不適切な融資を行っていた問題。本来なら自行の融資基準を満たさないケースでも、審査部門に提出する書類を基準に見合うように改ざん、偽装して融資を承認させるなどの不正が行われていた。
不正は、オーナーの代わりに不動産業者が賃貸物件を建設して借り上げ、オーナーに一定賃料を支払う「サブリース」と呼ばれる物件などへの融資で行われていた。この問題について調査していたスルガ銀行の第三者委員会が2018年9月7日に公表した報告書によると、銀行がオーナーに物件の土地代や建築費などを融資する際に、審査書類上でオーナーの年収や預金高を水増しするなどの偽装工作を行っていた。調査では、14年以降、改ざんが疑われる書類が、少なくとも795件見つかった。審査部門は形骸化し、14年下期以降、承認率は99%を超えていた。物件の仲介をする不動産業者に対しては、書類の偽造を依頼したり、物件の調査のタイミングを教えたりするケースもあった。第三者委員会は、執行役員を含む多くの行員が不正に関与していたとし、不正の背景には、実態を無視した業績目標の設定やパワハラ行為、法令順守意識の欠如があったとみている。
審査書類の改ざんは、18年1月、首都圏で女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を展開していた不動産会社、スマートデイズが、オーナーに賃料を払えないと通告したことを発端に発覚し、スルガ銀行の不正が明らかになっていった。スマートデイズは4月、東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請したが認められず、5月に破産した。
スルガ銀行は5月、シェアハウスで不適切な融資があったことを認め、外部の弁護士らによる第三者委員会を設置し、調査を依頼した。第三者委員会が調査結果を公表した9月7日には、会長や社長など肩書が常務以上の取締役5人が引責辞任した。融資の焦げ付きに備えた貸倒引当金の積み増しなどによる経営状況の悪化が懸念されている。
金融庁は18年4月から、スルガ銀行への立ち入り検査を実施している。そして18年10月5日、スルガ銀行に対し、10月12日から6カ月間の投資用不動産への新規の融資業務の停止命令と、業務改善命令を出した。

(南 文枝 ライター/2018年)

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