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馬車 ばしゃ carriage

翻訳|carriage

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

馬車
ばしゃ
carriage

馬によって牽引される車両の総称。車両の基本的形態は二輪車と四輪車で,牽引する馬の数によって1頭立て,2頭立て,4頭立てなどとその性能が区別される。最古の馬車はスサ遺跡 (前 3000頃) から出土した四輪車で,中国の殷 (前 1100頃) の車馬坑から出土したものは1本の轅 (ながえ) をもつ駟 (し。

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デジタル大辞泉の解説

ば‐しゃ【馬車】

馬にひかせて、人や荷物を運ぶ車。「荷馬車」「鉄道馬車

マーチョ【馬車】

《〈中国語〉》馬車。

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百科事典マイペディアの解説

馬車【ばしゃ】

馬に引かせる車の総称。古代の戦車をはじめ,ふつうの乗用馬車,乗合馬車駅馬車,荷馬車などがある。車輪は2輪もあるが多くは4輪,馬は1〜2頭立てが多い。日本には幕末に伝来,1869年には東京〜横浜間で乗合馬車の営業が開始され,1882年には鉄道馬車も出現,荷馬車の使用も広まったが,鉄道,自動車の発達で衰微した。

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世界大百科事典 第2版の解説

ばしゃ【馬車】

家畜に車を引かせて人や物を運ぶ技術は古く,スキタイ,バビロニアをはじめとする古代オリエントにもヨーロッパにも,馬に車を引かせた神として太陽を表象する共通の伝承がある。しかしポリネシア人アメリカインディアンはヨーロッパ人と接触するまで車を知らず,また,1860年(万延1)サンフランシスコで初めて馬車に乗った福沢諭吉は,走りだして初めて乗物と理解できたと回想しているので,牛車(ぎつしや)を中世にもつ日本でも明治まで家畜に引かせる乗物の伝統は絶えていたことがわかる。

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大辞林 第三版の解説

ばしゃ【馬車】

馬にひかせて人や荷物を運ぶ車。

マーチョ【馬車】

〔中国語〕
馬車。

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

馬車
ばしゃ

馬に引かせて人や荷物を運ぶ車の総称。乗用馬車、荷馬車、鉄道馬車郵便馬車自家用馬車などいろいろの種類がある。二輪車と四輪車があり、それを引く馬の数は二頭立て、四頭立て、八頭立てなどがあった。
 馬車は古代メソポタミアあたりで考え出されたといわれている。その用途はもっぱら戦闘用の戦車としてであり、エジプト、ギリシア、ローマなどでは数頭の馬に二輪車を引かせ、戦車として用いたほか競技用としても使用した。これらは二輪車の車軸の上に腰掛をしつらえて座れるようにした簡単な造りのものであった。古代中国の漢民族は駟馬(しば)とよぶ四頭立ての馬車を戦車として使った。またこれより前の殷(いん)の時代にも馬車は用いられており、殷墟(いんきょ)の王墓からは二頭立て、四頭立ての馬車が射手や御者を乗せたまま葬られているのが発掘されている。中国古代の馬と車のつなぎ方は、北方系のトナカイや犬をそりにつなぐ方法と同じで、メソポタミア辺のつなぎ方とは異なる。
 馬車が一般庶民の交通機関としての役割を果たすようになったのは、中世のヨーロッパにおいてである。15世紀ごろに運搬用の本格的な有蓋(ゆうがい)馬車が現れ、16世紀後半にはステージワゴンとよばれた大型馬車がイギリスでつくられた。さらに鋼鉄のスプリングが発明され、定期駅馬車が走るようになった。これ以後、馬車の使用はますます盛んになり、18世紀末から19世紀前半にかけてヨーロッパの主要都市を結ぶ馬車の交通網が発達した。そして19世紀初頭にはレール上を走る鉄道馬車がイギリスに出現した。一時に多量の荷物を運ぶことのできる馬車は、ヨーロッパだけでなく新開地のアメリカでも用いられ、幌(ほろ)馬車は西部開拓史に大きな役割を果たした。
 日本における馬車の歴史は新しい。運搬の手段として馬は古くから用いられ、古代律令(りつりょう)制においては駅制が整備され、駅馬も制度化された。しかし、これは車を引かせるものではなかった。馬に人が乗ったり、馬の背に荷物を乗せて運んだのである。こうした車を使用しない馬の使用はずっと後まで続いた。畜力による車としては牛車(ぎっしゃ)があった。しかし牛車に乗れる者は貴人に限られ、一般庶民は徒歩がほとんどであった。駕籠(かご)や馬の背を利用できるのも限られた人たちであった。荷物を運ぶのも人や馬の背によって行われ、駅から駅を付け通しする中馬(ちゅうま)制度も車を用いるものではなかった。
 日本における馬車の出現は幕末になってからで、横浜居留地の外人が私用に使ったり、外国の公使館が幕府のある江戸とを往復するために用いたのが最初といわれる。こうした馬車の使用を見た横浜の川奈幸左衛門ら数名が、1869年(明治2)2月乗合馬車の営業を出願し、出願者が共同で成駒屋(なりこまや)という店名で、1870年9月営業を開始した。2頭立てで乗客は六人、東京までの所要時間4時間、運賃は75銭であった。1872年には東京市内でも一区一銭の馬車営業が、浅草雷門と新橋間を三区制として開始された。これは二階建ての馬車で二頭の馬で引いた。しかし馬車が横倒しになり死亡者を出す事故を起こしたため、二階建ての馬車は禁止された。東京市内を走る乗合馬車は警笛としてラッパを吹き鳴らしたが、これは当時の新しい風物として人気を博し、落語家4世橘家(たちばなや)円太郎がこれを高座で吹いて評判をとったため、乗合馬車は円太郎馬車ともよばれた。1873年には郵便馬車会社が開業し、郵便物と魚とを乗せて東京―高崎間を16時間で運行した。その後、各地で馬車営業がおこるとともに郵便馬車会社もおこり、1881年には東京―大阪間の路線も完成し、長距離陸上輸送が開始された。また、華族や高級官僚は自家用馬車をもつようになった。1882年には鉄道馬車が新橋―浅草間に開通し、80年代後半~90年代には馬車の全盛期を迎えた。しかし馬車の普及と並行するように鉄道が開通し、路線が延び、また電車、自動車の急速な発達などによって、大都市周辺や主要街道を中心として馬車の短い歴史は終わる。
 一方、地方都市や農村における荷物の運搬手段として普及した荷馬車は運送馬車とよばれ、昭和20年代までもその機能を保ち続けた。自動車の普及が地方に及ぶのが遅かったこととともに、農村では農耕馬を飼育し、その馬に運送車を引かせることができたという事情もあった。しかし自動車の普及により運送馬車はトラックなどの自動車にとってかわられ、農耕機具にも動力が取り入れられるようになって馬が利用されることは少なくなり、運送馬車も姿を消した。現在はわずかに観光資源として短い距離を観光客を乗せた馬車が走るだけになってしまった。[倉石忠彦]

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世界大百科事典内の馬車の言及

【車】より

…【平田 寛】
[中国]
 中国の車は,伝説によると夏王朝の車正(車担当官)であった奚仲(けいちゆう)がつくったとか,黄帝がつくったとかといわれている。実際は殷時代から存在していたことが,安陽小屯(河南省安陽市郊外)から発掘された殷時代の車馬坑(馬車遺跡)から明らかである。殷から戦国時代にかけては,二つの車輪に1本の轅(ながえ),その両側に1対の馬をつなぐ馬車が一般であり,それは戦車としての機能を果たしていた。…

【繫駕法】より

…ただ中国の場合,複轅1頭立ての胸部繫駕法が出現してくるのは戦国期ころであり,そうした新発明の背後には戦車戦がすたれて歩兵が軍隊の主力となっていったこともおおいに関係がある。一説によると,この方式は北方の遊牧民匈奴の馬車より学んだといわれる。 ついで出現してくるのが最も進歩した頸帯式繫駕法で,この方式は胸帯のかわりに堅い芯入りのマット状の頸環collarと締木(しめぎ)とを頸部に装着し,そこから牽引線をとる。…

【乗合馬車】より

…19世紀初頭のヨーロッパの都市において,重要な公共輸送機関として発達した,通常2頭立て4輪の馬車。現在の路線バスに相当する。…

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