スワジ王国(読み)スワジおうこく

改訂新版 世界大百科事典 「スワジ王国」の意味・わかりやすい解説

スワジ王国 (スワジおうこく)

19世紀に南部アフリカ東部,現在のスワジランドにあったスワジSwazi族の小王国。伝承によると,16世紀にヌグニ語系の人々が東海岸に沿って南下し,ルボンボ山脈を通り現在のスワジランドと北部ナタールに定着したのが,スワジ族祖先といわれている。19世紀初頭ムスワティ1世Mswati Ⅰ(ソブフザSobhuza)が王位につき,同地域から採れる鉄を使って武器と軍事組織を整え,南方ズールー族の攻撃に対抗しながらしだいに北方に移動した。1836年ムスワティ1世が死に,息子のムスワティ2世Mswati Ⅱが即位した。彼の治世時に再度ズールー族の攻撃を受け,またトランスバールに移住したボーア人からの領土併合の脅威を受けた。その間にも王は北方のソト族を攻撃し領土の拡大をはかった。46年ムスワティ2世はボーア人のたび重なる併合要求に対し,イギリスに保護を求め,イギリスは保護を与えたが,それはイギリス人入植者が増えることにもなった。74年王位についたムバンドゼニMbandzeni王は白人に土地の使用権を与えたが,白人はそれを拡大解釈して土地所有権を得たと主張した。94年イギリスとトランスバール共和国との協定によってスワジ王国はボーア人のトランスバール共和国の支配下に置かれることになり,ボーア戦争終了後の1902年には正式にイギリス高等弁務官領となった。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のスワジ王国の言及

【スワジランド】より

…スワジ族はトウモロコシなどを主作物として栽培する農耕民で,牛などの家畜も飼養する。16世紀にこの地に定着し,19世紀初頭にはスワジ王国を形成した。その後イギリス領を経て,1968年にスワジランド王国として独立した後も,引き続いて伝統的な政治組織が存続した。…

※「スワジ王国」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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