スーキ・ニマ伝(読み)スーキ・ニマでん(その他表記)gZugs kyi nyi ma'i rnam thar

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スーキ・ニマ伝」の意味・わかりやすい解説

スーキ・ニマ伝
スーキ・ニマでん
gZugs kyi nyi ma'i rnam thar

チベット仏教説話。作者,成立年代未詳。作品中には,Vairocanaおよび She'uがインドの説話を翻訳したと書かれているが,該当するインドの説話は知られていない。物語の主題,構成には『シュカサプタティ』などインド文学の影響がみられる。韻文を交えた美文口頭でも広く知られ,巡回物語師ラマ・マニや劇団アチェ・ハモ演目の一つ。仏教に信仰の厚い,貧しいが美しいバラモンの娘スーキ・ニマは,異教徒の王様の熱心な求婚を受けて,妃になるが,まもなく他の妃たちに陥れられ追放される。放浪の旅をしながら,信仰の力で人々を感動させ教化し,ついに妃たちをも改心させて再び王妃として迎えられる。その後,王子に位を譲った王とともに出家隠栖し,悟りを得るという筋。

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