改訂新版 世界大百科事典 「スーニオン」の意味・わかりやすい解説
スーニオン
Sounion
ギリシアのアッティカ半島南端の岬名。海面から約60mの高さに切り立つ絶壁で三方を囲まれた突端の台地は,すでにホメロスの時代から船乗りたちの聖地として崇められ,前6世紀にはその上に海神ポセイドンの神殿が築かれた。この古い神殿は前480年のペルシア軍の来攻の際に破壊され,前5世紀の中ごろその同じ基礎の上に,同じ神のための神殿が建てられた。この大理石を用いたドーリア式神殿からは,今日10基余りの円柱と上部構造の一部が残されている。ポセイドン神殿の建つ岬の突端から約500m内陸に入った丘の中腹には,女神アテナにささげられた聖域があり,そこにも前5世紀の神殿の跡が確認されている。スーニオンはまた海防の重要な拠点でもあり,岬は古代を通して要塞化され,絶壁の下には岩を切り開いて築かれた軍船の隠し場所などの跡も残されている。
執筆者:中山 典夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報