最新 地学事典 の解説
セディメントフォーカシング
sediment focusing
湖の湖心域の深い部分ほど,湖底堆積物が蓄積する割合(堆積速度)が大きくなる現象。湖水が全層にわたって混合されるような小さくて浅い湖では,フォーカシング効果が強く現れる。小さいけれども夏季の水温成層が発達する温帯湖や亜熱帯湖でも,堆積速度の平面分布からフォーカシングがいくつか確認されている。湖岸域における波浪による底質の巻上げ・再移動,秋季の全循環(overturn)による湖水の全層混合,密度流などの河川流入,湖底地すべりなどの堆積機構が,フォーカシングの原因と考えられている。深くて大型の湖では,最深部で堆積速度が小さくなるのが一般的であるが,ヨーロッパ第4位の大きさをもつベーネル湖(スウェーデン)では波浪に起因するフォーカシングが認められている。大型の湖に属する琵琶湖北湖でも湖心最深部で堆積速度が大きく,フォーカシング効果が現れている。琵琶湖では最深部が西岸寄りに位置しているため,大規模な洪水時の河川流入や湖底地すべりの影響が推定されている。
執筆者:太井子 宏和
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

