タイロス(その他表記)TIROS; Television Infrared Observation Satellite

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タイロス」の意味・わかりやすい解説

タイロス
TIROS; Television Infrared Observation Satellite

アメリカ最初の実験的な気象観測衛星。1号は 1960年4月にソア=エーブル・ロケットで打上げられた。近地点 690km,遠地点 750kmで,赤道との軌道傾斜は 48度。本体は重さ 122kgの平たい円筒形で,内部に広角と狭角の2台のテレビカメラを積み,周期約 99分で地球の周囲を回りながら雲の写真2万 2900枚を電送してきた。2号 (1960.11.) は,テレビカメラのほか赤外線探知装置を積み,雲の量や成層圏の温度などを詳しく観測。3号 (61.7.) は3ヵ月ほどの間に 50個以上の台風やその子供を発見した。また,4号 (62.2.) はセントローレンス湾の氷や高山積雪などを探査したので氷衛星とも呼ばれた。 63年 12月には,初めて自動画像送信装置を積んだ8号が打上げられ,自動画像受信所のある国はどこでも写真を受像し,天気予報の資料にできるようになった。こうして 65年7月までに 10個のタイロスがそれぞれ軌道に乗せられ,以後は実用型のエッサ衛星などに引継がれた。なおアメリカはタイロス計画の跡継ぎとして,64年以降はより高級な大型の気象観測衛星ニンバスを打上げている。

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