改訂新版 世界大百科事典 「ターンセン」の意味・わかりやすい解説
ターン・セン
Tān Sen
16世紀後半の北インド,ムガル帝国アクバル帝時代の音楽家。生没年不詳。イスラム教徒間の尊称である〈ミーヤーン〉の名が与えられて,ミーヤーン・ターン・センと呼ばれ,またアクバル皇帝の寵臣の意味をもつ〈九つの宝〉の一つに数えられて,宮廷音楽家として活躍した。師匠は,ヒンドゥー教の聖者としてあがめられた音楽家スワーミー・ハリダースSwāmī Haridāsであり,師弟ともに伝説的な逸話が多い。ターン・センによって作られたラーガは尊称をもって〈ミーヤーンキ・マルハル〉と呼ばれ,また,代表的な声楽形式の一つであるドルパドの歌い手としても有名であった。彼自身も多くのドルパドを作曲している。
執筆者:島田 外志夫
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