聖者(読み)セイジャ

デジタル大辞泉 「聖者」の意味・読み・例文・類語

せい‐じゃ【聖者】

聖人1」に同じ。
修行を積んだ信仰者。特にキリスト教で、殉教者や偉大な信徒のこと。聖人。
[類語]聖人聖女聖賢聖哲ひじり四聖君子仁者生き仏生き神

しょう‐じゃ〔シヤウ‐〕【聖者】

煩悩ぼんのうをぬぐい去り、正しい智慧を得た人。聖人。せいじゃ。

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精選版 日本国語大辞典 「聖者」の意味・読み・例文・類語

せい‐じゃ【聖者】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「せいしゃ」とも )
  2. 修行を積んだ信仰者。聖人。特に、キリスト教で、偉大な殉教者や信徒の尊称聖徒。〔文明本節用集(室町中)〕
  3. しょうじゃ(聖者)
    1. [初出の実例]「利軍支比丘と云ひけるは羅漢の聖者(セイシャ)也けれども、あまりに貧にして」(出典:米沢本沙石集(1283)一)
  4. 最もすぐれている者。第一人者
    1. [初出の実例]「いつしか此卓説を奉ずる者なくなりて其道の聖者(セイシャ)と曰はるる人すら大抵風姿を主張し」(出典:詩文粉飾(1889)〈内田魯庵〉)

しょう‐じゃシャウ‥【聖者】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「しょう」は「聖」の呉音。[梵語] ārya の訳語 ) 仏語。
  2. 煩悩(ぼんのう)をはらい捨て、正理を悟った人。聖人。せいじゃ。
    1. [初出の実例]「物情不一、飛沈異性、是故、聖者駆人、教網三種」(出典:三教指帰(797頃)上)
    2. 「既に不還果の聖者(シャウシャ)と為る」(出典:私聚百因縁集(1257)二)
    3. [その他の文献]〔安楽集‐上〕
  3. 仏および菩薩(ぼさつ)の称。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「聖者」の意味・わかりやすい解説

聖者
せいじゃ

宗教的に最高の段階である聖なる境地に達した人。非日常的な聖なる価値を体得し,不動の信仰体制を確立した人物ともいえる。宗教心理学者 W.ジェームズは,聖者の理想的な人格特徴 (聖者性) を分析し,4つの性格,すなわち禁欲主義,心の強さ,清らかさ,慈愛深さをあげている。カトリックでは中世以降,篤信者,徳行者,殉教者に「聖人」 Sanctusの称号を与える制度を定めた (今日では,福者 Beatusと聖人を区別している) 。プロテスタントには聖人という観念はないが,アングリカン・チャーチでは聖書中の主要人物を聖ペテロ,聖パウロなどと呼んでいる。荘子は,最高度の修養を積んだ人を聖人と称している。日本の仏教では,知徳を兼備したすぐれた宗教家を「しょうにん」と呼ぶ場合がある。

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改訂新版 世界大百科事典 「聖者」の意味・わかりやすい解説

聖者 (せいじゃ)

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普及版 字通 「聖者」の読み・字形・画数・意味

【聖者】せいじや

聖人。

字通「聖」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の聖者の言及

【聖人】より

…聖者(しようじや),聖(ひじり)ともいう。悟りをえた人。…

【聖人】より

…一般に知識や徳が衆にすぐれ,範と仰がれるような人物,および修行を積んだ偉大な信仰者をさす語。特に後者は〈聖者〉とも称され,しばしば世俗の穢れを超越し,神のように清浄でいかなる誘惑にも屈せぬ心,不思議な奇跡を行う超能力などを備えた人をさすことが多い。このような崇高な人格と能力に到達するには,激しい禁欲的修行によって,肉体的・精神的修練を通過しなければならないとする観念が古くからあった。…

【墓】より

…神聖な場所として死者を守るために,中世北欧ではルーン文字やトールの槌やハーケンクロイツ(鉤十字)を墓に添えた。キリスト教時代に入ると聖水をふりかけ,墓の十字架を立て,中に十字架,ロザリオ,聖者像,聖書,祈禱書などを入れた。墓に供える花は死者に安らぎを与える。…

【マラブー】より

…西アフリカに興ったムラービト朝は,そのようなリバートの修道士が建てた王朝である。13~14世紀ころからのイスラム神秘主義の発展に伴い,リバートはスーフィーの修行場であるザーウィヤを意味するようになり,マラブーは聖者を指すようになった。このようにしてマラブーは聖戦の兵士としての軍事的性格を喪失した。…

【フォガッツァーロ】より

…おりしも同世代のベルガがベリズモ(真実主義)の最高傑作《マラボリア家の人々》を世に問うた年にあたるが,フォガッツァーロの方は,ロマン主義の色濃い,貴族趣味も顕著な,反自然主義の小説世界を追求し,宗教的神秘主義の大家となった。前期の諸作品にもすでにうかがわれる,カトリックの信仰と科学とりわけ進化論の両立,宗教的愛と官能的愛の葛藤の問題は,評論で論じられたほか,後期の四部作,すなわち代表作の《古き小さな世界》(1895),《新しき小さな世界》(1900),《聖者》(1905),《レイラ》(1911)の主要テーマとなり,最後の2作は教会の禁書目録に載ったりもしたが,基本的にはカトリシズムの枠を出ない保守的なブルジョアの文学であり,当時はダンヌンツィオとならんでおおいにもてはやされたが,今日その評価は低い。【林 和宏】。…

※「聖者」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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