改訂新版 世界大百科事典 「ダブルトーン印刷」の意味・わかりやすい解説
ダブルトーン印刷 (ダブルトーンいんさつ)
double tone printing
元の写真のように写真版(網版)の濃淡をとくに豊かに出したいときに利用する印刷法。写真版の調子とその微妙な変化を忠実に出すには,二つの異なる方法がある。一つは濃い色のインキと淡い色のインキを用いて二つの版で2色刷りをするもので,たとえば,おもな調子を出すのに黒インキで刷り,これに淡茶色または淡青色を刷り重ねる。オフセット印刷では,とかく1色の写真版印刷は効果が弱いことが多いので,調子を補うために利用することが多い。
この場合,まったく同じ版で刷り重ねるのではなくて表現意図によってそれぞれの版の調子を変える。もう一つはダブルトーンインキを用いて網版で1色刷りをする方法である。このインキは主調を出す濃い色の顔料と,淡い色を出す染料で染めた油とが練り合わされており,印刷後しばらくして網点のまわりに淡色の油がにじみ出てきて2色版のような効果を出す。
執筆者:山本 隆太郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報