網版(読み)アミハン

デジタル大辞泉 「網版」の意味・読み・例文・類語

あみ‐はん【網版】

写真または絵画の複製印刷で、原画濃淡網目状の点の大小で再現する製版方法。網目版写真版。あみ。

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精選版 日本国語大辞典 「網版」の意味・読み・例文・類語

あみ‐はん【網版】

  1. 〘 名詞 〙 濃淡の階調を、網目状の点の大小で表わす製版方法。点の大小は濃淡として目にうつるため、凸版印刷オフセット印刷の写真版にもっぱら用いられる。あみめ。あみめばん。あみ。
    1. [初出の実例]「普通の網版についで珍重されてをったのである」(出典:日本‐明治三八年(1905)一二月二七日)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「網版」の意味・わかりやすい解説

網版
あみはん

写真の濃淡を大小の網点によって表した印刷版、またはそれで刷った印刷物ドイツのマイゼンバッハGeorg Meisenbach(1841―1912)が発明(1882年特許)した。濃淡のある写真を印刷版で表す場合、部分的に濃淡の差をつけてインキを版に与えることができないから、濃い部分は大きい網点で、薄い部分は小さい網点で印刷する。網点が肉眼で1個ずつ見えないほど小さいから、全体の写真に濃淡の差が出る。この網点は、もとの写真を製版カメラで撮影するとき、スクリーンを通すことによってつくった。現在はデジタルデータをレーザーで描画する。網点の細かさは1インチ(約2.54センチメートル)の幅に、規則正しく線状に配列された網点の列の数(線数)によって表す。線数の数値が大きいほど網点は細かくなる。新聞用の網版は80線くらい、上質の紙を使った網版は100線あるいは133線、コート紙アート紙へは175線以上である。

[山本隆太郎・中村 幹]


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百科事典マイペディア 「網版」の意味・わかりやすい解説

網版【あみはん】

写真,絵画など濃淡を再現する必要のある複製印刷に使われる製版の方法。写真版とも。製版カメラの感光材の前に網目スクリーンを置いて原稿を撮影する。網目スクリーンは,直交する無数の不透明線がはいったガラス板で,その光学的格子作用により,原稿の濃淡は網点の大小に分解されて感光する。このネガを版材に焼き付けて製版すると,原稿の淡い部分は小さい網点の,濃い部分は大きい網点の集合となり,人の眼には濃淡のある画像と映る。1インチ間に含まれる線の数をスクリーン線数といい,これによって,60線,100線,133線,150線,200線などと呼ぶ。新聞印刷などには65線,雑誌・一般書籍には85線,表紙・口絵には150線,高級美術印刷には175または200線の網目スクリーンを選択するのが普通であり,用紙もこれに合わせ平滑度の低いものから高いものへとマッチさせていく。
→関連項目スクリーン

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「網版」の意味・わかりやすい解説

網版
あみはん
halftone block

網目凸版,写真版などともいう。写真,絵画などの濃淡を印刷するための凸版の一種で,網点の疎密面積によって濃淡を表現する。 1882年ドイツの G.マイゼンバハの発明したオートタイピーに始り,93年アメリカの M.レビーが網目スクリーンを開発した。版材としては銅,亜鉛,マグネシウム合金などが用いられ,銅版は比較的スクリーン線数の細かい,高級な原色版製作に用いられてきたが,このカラー印刷の分野はオフセットに変ってきた。亜鉛凸版は主としてスクリーン線数のあらい,モノクロームに用いられ,この分野は感光性樹脂版に変ってきている。マグネシウム合金版またはファイン亜鉛版を使って丸版にして,印刷機にかけ,輪転方式でスピードレベルをオフセットレベルに向上させるのに網版の精度が問題になる。

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図書館情報学用語辞典 第5版 「網版」の解説

網版

原稿を網目のスクリーンを通して撮影し,網点という点の集合体に置き換え,網点や白地の大小によって連続した濃淡をうまく表現する方法を用いた版面,さらにはその版で刷った印刷物.普通,凸版や平版は版面に付けるインキの量がどこも一律に同じなので,印刷インキの厚みを出すことができず,濃淡のあるものを印刷するのには不向きである.網版はこの点を補うものである.網点は凸形をしているので,凸版に分類できる.

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改訂新版 世界大百科事典 「網版」の意味・わかりやすい解説

網版 (あみはん)

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世界大百科事典(旧版)内の網版の言及

【印刷】より

… いっぽう,写真や絵の印刷は原稿に濃淡があって,凸版や平版のように版につけるインキの厚さが一様なものでは再現が困難であった。そこで考案されたのが網版法である。1890年アメリカのレビー兄弟Max Levy,Louis Levyが網目スクリーンの製作に成功して以来,広く実用化した。…

※「網版」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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