ダラライゼーション(読み)だららいぜーしょん(その他表記)dollarization

翻訳|dollarization

知恵蔵 「ダラライゼーション」の解説

ダラライゼーション

米ドル圏にある国が自国通貨の使用を断念し、米ドルを法定通貨とすること。パナマは、1903年独立と共に米ドルを法定通貨とした。ドル化のメリットとしては、為替リスクがなく通貨価値が安定し、物価金利など経済全体の安定化につながることが挙げられる。一方、デメリットとしては、米国の金融政策に左右されるため自主的な金融政策が取れないこと、国内金融危機に際して最後の貸手機能を果たせないこと、自国通貨を放棄するためシニョレージ(通貨発行益)を失うと共に、外的ショックに見舞われたり改革が期待通りに進まない場合でも、それ以前の制度への変更がほとんど不可能であること、などが挙げられる。中南米諸国ではドル化を採用する国が増加している。経済危機打開を目的としたエクアドル(2000年)、国内金利低下を目的としたエルサルバドル(00年)、自国通貨と米ドル双方の使用を認める二重通貨制のグアテマラ(01年)と続くが、各国とも米国との了解を得ない一方的なドル化であり、米国当局は基本的に慎重に対処すべきとしている。

(絹川直良 国際通貨研究所経済調査部長 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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