改訂新版 世界大百科事典 「ダリスグラス」の意味・わかりやすい解説
ダリスグラス
dallisgrass
watergrass
Paspalum dilatatum Poir.
牧草として暖地に栽培されるイネ科の多年草。パスパルムグラスpaspalumgrassとも呼ぶ。和名はシマスズメノヒエで,関東地方以西で野生化もしている。原産地は南アメリカで,ウルグアイまたはアルゼンチンから,19世紀半ばにアメリカ合衆国南部に導入された。葉は細長く30cm余り,夏に茎が伸びて先に穂をつける。稈(かん)は細く,草丈60~150cm,稈につく葉は少ない。穂は,軸より分かれた3~6本の枝軸からなり,その片側に3mmほどの小穂が3~4列密に並ぶ。小穂は1穎花(えいか)からなり,穎のふちには白い光沢のある毛が密生する。葯は黒紫色。温暖な気候を好み,湿潤地によく生育するが,また夏の暑さや干ばつにも耐えられる。日本では第2次世界大戦後,急速に広がり,暖地で放牧用の牧草にするほか,刈り採って乾草として使う。同属のバヒアグラスも暖地の牧草として利用される。
執筆者:星川 清親
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報