日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダルガス」の意味・わかりやすい解説
ダルガス
だるがす
Enrico Mylius Dalgas
(1828―1894)
デンマークの軍人、デンマーク・ヒース協会創立者。1782年にデンマークに移住したフランス系ユグノー派の家系に生まれる。1848年軍務につき、53年北部ユトランドにあるビボーの軍道敷設隊の陸軍中尉(工兵)に任官、56年大尉、80年中佐となった。ビボー在勤中にユトランドの土壌を熟知し、植林事業を手がけていた司法官モービレGeorg Morville(1817―1904)と交際、66年3月オーフスÅrhusでモービレらと「デンマーク・ヒース協会」を創設し、ダルガスはその死まで会長を務めた。ヒース地帯の開墾、用・排水路建設による森林育成、講演活動や貧農の生活向上などの成果により、彼の名は広く知られた。わが国では、内村鑑三の『デンマルク国の話』(1911)以来ダルガスの名はよく知られているが、その内容には疑問の点が多く、とくに「外に失いしものを内にて取り戻さん」ということばは本来ダルガスのものではなく、1872年にホルストH. P. Holst(1811―93)が首都圏の工業化を詩に歌ったものである。
[村井誠人]