改訂新版 世界大百科事典 「ダーウィン結節」の意味・わかりやすい解説
ダーウィン結節 (ダーウィンけっせつ)
tuberculum Darwini
耳介の前,上,後縁にわたり大部分の輪郭の縁は,多少内方にまきこんでおり,耳輪と呼ばれる。耳輪の後上部のまきこんだ縁にときにみられるにぶい突起をダーウィン結節,あるいは耳介結節tuberculum auriculaeといい,小さな奇形と考えられている。まれには,この結節が貝殻状に突出しているマカクス耳Macacus earと呼ばれる奇形がある。サルの類では,耳介の遊離縁にはまきこみがなく,先端がとがっている。C.ダーウィンが,ヒトではこの部分がまきこまれて小さな突起として残ったものと考えて,ヒトの進化の例証として《人間の由来The Descent of Man》中にあげたので,この名がつけられた。
執筆者:矢野 純
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