チブチャ族(読み)チブチャぞく(その他表記)Chibcha

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チブチャ族」の意味・わかりやすい解説

チブチャ族
チブチャぞく
Chibcha

南アメリカ,コロンビアのボゴタ周辺の谷に住んでいた民族。スペイン人の侵入当時は人口 50万をこえ,南アメリカではインカ帝国を除き最も政治的に中央集権化していた。二つのおもな州といくつかの小さな州に分かれ,世襲の支配者をもっていた。母系制で,政治や祭礼首長姉妹の息子に受け継がれたが,土地は父系世襲制であった。上流階級駕籠に乗り,特権的に金を使用した。金や布が多数の寺院に捧げられ,宗教儀礼が盛んであったが,ときには太陽神に対する人身供犠も行なわれた。現在では,スペイン系の人々に同化されてしまった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のチブチャ族の言及

【アメリカ・インディアン】より

…しかしながら,パナマのコクレやチリキ,コロンビアのサン・アグスティン,キンバヤ,エクアドルのグアンガラ,トリタ,ミラグロなど,土器,金細工,石製品に独特の洗練をみせる地方的文化を形成した。16世紀初頭,チブチャ族その他が首長とそれに近い近縁者を貴族層とする階層化した社会を成立させていた。カリブ海の島々は,キューバ島の一部にシボネイ族,大アンティルにアラワク語系,小アンティルからベネズエラにかけてカリブ語系の諸族が住んでいた。…

【エル・ドラド】より

…黄金郷と訳す。この伝説はボゴタのチブチャ族の首長が年に1度グワタビタ湖の霊に供物をささげ,体中に金粉を塗って沐浴するという儀式に発し,スペイン人がそれを歪曲・誇張して作り上げたものとされる。エル・ドラドを求めて数多くの遠征隊が組織されたが,とりわけ有名なのはケサダGonzalo Jiménes de Quesada(1500?‐79)麾下の北方(サンタ・マルタ)からの遠征隊,ベナルカサルSebastián de Benalcázar(1480‐1551)指揮のキトからの遠征隊とドイツ人フェーダーマンNicolaus Federmann(1501‐42)が率いたベネズエラからの遠征隊である。…

【コロンビア】より


【歴史】
16世紀の初め,現在のコロンビアに相当する地域には70万~80万人の先住民インディオが居住していた。言語を異にする少なくとも八つの種族のうち,最も高度の文化を有していたのは,ボゴタ高原を中心とするアンデス高地のチブチャ族(別名ムイスカ族)であった(〈チブチャ〉の項を参照)。1499年に,アロンソ・デ・オヘダがスペイン人として初めてコロンビアの地に足を踏み入れ,1509年にはスペインによる征服が開始された。…

※「チブチャ族」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android