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母系制 ぼけいせいmatriliny

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

母系制
ぼけいせい
matriliny

出自が母子関係を通じてのみたどられていること,および財産や地位,称号などの相続継承が母子関係を通じて,実質的にはある男性からその姉妹の息子へと相続,継承が行われることをいう。通常は母系出自集団の存在と関連し,狭義には母系出自集団の存在とそれへの帰属をいう。

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百科事典マイペディアの解説

母系制【ぼけいせい】

系譜・相続・継承等において,母を通じての親族関係の認知が優位している場合をいう。出自が男のみによってたどられる父系制に対する概念。
→関連項目血縁集団母権制ミナンカバウ

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世界大百科事典 第2版の解説

ぼけいせい【母系制 matriliny】

狭義には母系出自のもつ規制をいう。すなわち集団の成員権が母親を通じて代々子供に伝えられていく出自の規制をいい,このような規制にもとづく集団を〈母系出自集団matrilineal descent group〉と称している。自分が所属するところの母系出自集団の成員を図示すれば,図のようになる。自分(EGO)とおなじ出自集団の成員は,図中黒印で示された者たちであり,自分(EGO)の母親(●印)を通じて関係づけられた者たちである。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

母系制
ぼけいせい

親族カテゴリーや親族集団への帰属権が母を通じて継承され、こうした母系出自集団が社会的、政治的に重要な機能をもっているような社会を母系制社会とよぶ。母系制はしばしば母権制と混同されてきたが、権威や権力の所在に関する限り、母系制のもとでもその集団の男性が握っているのが普通である。同じ母系制といってもさまざまに異なった形がみられるが、大別すると三つの型が区別できる。
 第一の型はインドのカースト集団ナヤールがかなり極端な形で実現していたもので、母系リネージの成員が全員一つの居住単位に属しているものである。リネージの女性たちは兄弟の直接の管理下に置かれており、女性たちの夫は、彼女らといっしょに暮らさず、ときどき訪れて彼女を妊娠させる以外にはこれといった役割を演じていなかった。彼は妻から家庭的なサービスを受ける権利もないかわりに、妻や子供に対してなんの責任も負わなかった。第二の型はマラウイのヤオの社会でみられたもので、母系リネージの男たちは、結婚すると妻方居住婚によって婚出してゆくが、女性たちは一つの村にまとまって暮らし、兄弟のうちでただ一人夫方居住婚を行う長兄によって管理された。他の男たちはリネージの女性たちとその子供に対する管理を彼にゆだね、自分たちは他の村々でよそ者として劣った地位に甘んじながら夫としての役割を果たしていた。こうして母系出自集団は、その男性成員の分散という犠牲と引き換えに、その次代の成員に対するコントロールを手に入れることになる。第三の型はトロブリアンド島民の間にみられたもので、女性たちは夫方居住婚により、自らの出自集団の村を離れて分散する。女性たちの子供は、出自集団の村から離れて成長することになるが、ある年齢に達すると親のもとを離れて、母の兄弟が住んでいる村、つまり彼らの出自集団の村に戻ってくる。こうした形で、母系集団の成年に達した男性たちの結集が得られることになる。
 母系制社会では、父親は自分の子供たちに対して法的な権利を有さず、かわって母の兄弟が統制権をもつ。相続も母の兄弟から姉妹の息子へ、つまり母方のおじから甥(おい)へという形をとるのが普通である。[濱本 満]

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