日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツェベクミッド」の意味・わかりやすい解説
ツェベクミッド
つぇべくみっど
Дондогийн Цэвэгмид/Dondogiyn Tsevegmid
(1915―1991)
モンゴルの小説家。現代モンゴル文学初期の代表的作家で、ダムディンスレン、ナツァクドルジの開拓した道を継承した。国立大学を経て当時のソ連に留学、生物学を学んだ。1935年より創作を始め、この年に中編小説『羊飼ナイダン』と『ボルドとサンブの二人』を発表した。前者は旧モンゴルの階級的矛盾を正確に反映した傑作で、詩情豊かに草原美が描かれている。詩人としても有名で、『牛飼の少年』『馬群看視の一夜』『畜群』などがあり、『墓標にて』(1941)にみる新鮮な比喩(ひゆ)と形容、表現力に富む独創的な描写は印象的である。その後政界に転じ、モンゴル国立大学学長、駐中国大使、文化大臣を歴任した。晩年の作に『新しい教師』がある。
[荒井伸一]