日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナツァクドルジ」の意味・わかりやすい解説
ナツァクドルジ
なつぁくどるじ
Дашдоржийн Нацагдорж/Dashdorzhiyn Natsagdorzh
(1906―1937)
モンゴルの詩人、小説家。モンゴル現代文学創始者の一人。15歳よりチョイバルサン、マクサルジャブの指導のもとに革命運動に参加し、革命中に生まれた初めての文化機構「スヘ・バートルクラブ」の中枢的存在として広範な文化工作を展開。その後ヨーロッパへ留学、帰国後ピオネールの創設と指導にあたる。1927年より作品を発表、モンゴルの自然を流麗な筆致と優美な写実で格調高く歌い上げた珠玉作『わが故郷』(1933)は、いまも広く愛誦(あいしょう)されている。モンゴルの代表的オペラ『三つの山の故事』の歌詞も彼の作である。短編小説に『ホーチン・フー』『正月と過酷な涙』『まだ見ぬ事』があるが、『正月と過酷な涙』で随所に対比の手法を用いているのが注目される。
[荒井伸一]