日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツヅミクラゲ」の意味・わかりやすい解説
ツヅミクラゲ
つづみくらげ / 鼓水母
[学] Aegina rosea
腔腸(こうちょう)動物門ヒドロ虫綱ヒドロイド目剛クラゲ亜目ツヅミクラゲ科に属するクラゲ。傘はやや扁平(へんぺい)な半球状で、直径2~5センチメートル、わずかに紅色のことがあるが、普通は無色である。寒天質は厚い。胃腔(いこう)は大きく、八つの胃盲嚢(いもうのう)に分かれる。傘腔の中央に円形の口が開き、口の周囲には4、5個の口唇がみられる。傘高の中央辺から4、5本の触手が生じており、各触手の基部からは傘縁に向かって縦の溝が走っている。生殖腺(せん)は胃腔の周縁にある胃盲嚢の周りに発達する。世界各地に広く分布するが、日本の太平洋沿岸にも冬から春にかけてみられる。本種は浮遊性のクラゲ型のみで、付着性のポリプの時代はない。本種はA. citreaと同種と考える学者もある。
[山田真弓]