デジタル大辞泉
「厚い」の意味・読み・例文・類語
あつ・い【厚い/▽篤い】
[形][文]あつ・し[ク]
1 (厚い)物の両方の面の隔たりが大きい。厚みがある。「―・い板」「―・い雲におおわれる」「野球ファンの層が―・い」⇔薄い。
2 心入れの程度が大きい。いたわりの心が強い。「―・いもてなし」「情に―・い」「信仰に―・い」
3 (篤い)病気が重い。容体が悪い。「師の病の―・いことを知った」
4 (厚い)囲碁で、石の配置が堅固で容易に攻略されないさま。⇔薄い。
5 富んでいる。金持ちだ。
「至って―・き御身上の御方はいかが侍らん」〈仮・東海道名所記・六〉
6 厚かましい。
「鼻もうごかさず、さりとは―・い口上」〈浮・曲三味線・一〉
[派生]あつさ[名]あつみ[名]
[類語]厚ぼったい・分厚い・厚手・地厚・厚地・肉厚・厚み
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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あつ・い【厚・篤】
- 〘 形容詞口語形活用 〙
[ 文語形 ]あつ・し 〘 形容詞ク活用 〙 - ① 物体の一面から反対側の一面までの距離が長い。厚みがある。厚ぼったい。⇔薄い。
- [初出の実例]「布の襖、綿あつく入れて、いと多う持たせ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲下)
- ② 物事の密度や濃度などが少なくない。⇔薄い。
- (イ) 雲、霧、霜また、群生するものなどの密度・濃度が少なくない。
- [初出の実例]「五障のくもこそ厚くとも、如来月輪隠されじ」(出典:梁塵秘抄(1179頃)二)
- (ロ) 人の集団について、ある役割を担う人数が多い。「選手層が厚いチーム」
- (ハ) 音楽で、ハーモニーが多くの音で構成されている。「厚いハーモニーの曲」
- ③
- (イ) ( 篤 ) 身に受けたり、人に与えたりする恩恵・幸い・情愛などの気持の程度がはなはだしい。「人情」「恩恵」「好意」などについて、「真心がこもっている、志が深い」の意を含む。⇔薄い。
- [初出の実例]「幸福(さきはひ)の阿都伎(アツキ)輩(ともがら)参到(まゐた)りて正目(まさめ)に見けむ足跡(あと)のともしさ嬉しくもあるか」(出典:仏足石歌(753頃))
- 「親のかへりみのあつく、慈悲の深かりしを捨てて」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)
- (ロ) 身に受けた恩恵などに対して、恩賞・ほうび・礼・感謝など、その気持を表わす行為の程度がはなはだしい。また、その表わし方が真心がこもっていて丁寧である。
- [初出の実例]「シャウヲ atçǔ(アツウ)スル〈訳〉多くの恩賞をほどこす」(出典:日葡辞書(1603‐04))
- 「老人は喜び、あつくれいをのべて」(出典:尋常小学読本(1887)〈文部省〉四)
- (ハ) 物事・行為に対して、熱心である。本気である。誠心誠意とりくんでいる。
- [初出の実例]「此しんばつと、あつうふかうかうるべし。はつはにおいてはしらぬ也」(出典:説経節・さんせう太夫(与七郎正本)(1640頃)中)
- (ニ) 特に、信用・信頼する気持が強い。⇔薄い。「信仰心があつい」
- [初出の実例]「性、狷介、自ら恃む所頗る厚く、賤吏に甘んずるを潔しとしなかった」(出典:山月記(1942)〈中島敦〉)
- ④ 裕福である。経済的に富んでいる。⇔薄い。
- [初出の実例]「これは薄き人々の傾城ぐるひの事也。いたって厚き御身上の御かたはいかが侍べらん」(出典:仮名草子・東海道名所記(1659‐61頃)六)
- ⑤ あつかましい。つらの皮が厚い。
- [初出の実例]「酒興の上なれば御ゆるさるるぞ。お懐へ手を入、あつうかかって申請と」(出典:浮世草子・傾城色三味線(1701)江戸)
- ⑥ ( 篤 ) 病気が重い。危篤状態である。
- [初出の実例]「我が家の母あつき病にふし給へば」(出典:読本・春雨物語(1808)宮木が塚)
- ⑦ 囲碁で、陣構えが堅固である。将棋などにもいう。⇔薄い。
厚いの派生語
あつ‐さ- 〘 名詞 〙
厚いの派生語
あつ‐み- 〘 名詞 〙
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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