日本大百科全書(ニッポニカ) 「つなぎ売買」の意味・わかりやすい解説
つなぎ売買
つなぎばいばい
hedging
商品や株式の実物取引において生じる損失を回避するため、から売買で埋め合わせておくこと。保険つなぎ、掛けつなぎ、ヘッジ、ヘッジングともいう。たとえば、大量物品の先物(さきもの)(将来の一定時期に受け渡す)を取引所外の実物市場で買い付けたとき、受渡し時期の価格変動による損失に備えて、取引所で同一物品を同一条件で売っておく。このように同一人が反対売買を行うことにより、一方での損失は他方の利益で相殺されるので、結局最初の予定価格で実物を買い入れたと同じことになる。この例は「売りつなぎ」とよばれるが、これと反対に実物を先売りしたときは、同様な方法で「買いつなぎ」をする。このように、つなぎ売買は損失を回避する保険機能を果たす。先の例は実物についてであったが、経済の国際化に伴う為替(かわせ)リスクを回避するためにも、先物外国為替市場を利用して同じことが行われる。
[森本三男]