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為替 かわせ exchange

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

為替
かわせ
exchange

隔地者間の債権,債務を決済するにあたって,現金を輸送することなしに同一地域内の決済に振替える仕組みをいう。たとえば東京のAが大阪のBから1万円の商品を買い,同時に東京のDが大阪のCに1万円の商品を売ったとする。

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デジタル大辞泉の解説

かわし〔かはし〕【為替】

《為替を組む意の動詞「為替(かわ)す」の連用形から》中世、「かわせ(為替)」のこと。

かわせ〔かはせ〕【為替】

《中世に用いられた「かわし(為替)」の音変化》
遠く隔たった者の間に生じた金銭上の債権債務の決済または資金移動を、現金の輸送によらずに行う仕組み。現在では、内国為替外国為替送金為替取立為替などに分類される。
為替手形」の略。
為替に関する業務。
取り替わすこと。ひきかえ。交換。
「虎御前を助け申し候へば、お礼は―に仕る」〈浄・百日曽我

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百科事典マイペディアの解説

為替【かわせ】

隔地者間の貸借を現金を輸送せずに決済する方法。歴史的には,隔地者間の債権債務の相殺により同一地域内の代金決済に振り替える方法であったが,為替手形小切手の導入により今日の為替取引の発達をみた。

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世界大百科事典 第2版の解説

かわせ【為替】

離れた地域にいる金銭上の債権者と債務者が,現金の輸送を行わずに債権債務を決済するしくみ。現金の輸送に伴う危険・費用・手間を省く効果がある。今日では銀行・郵便局がその仲介を行い,とくに銀行では預金・貸出しと並ぶ主要業務の一つとなっている。為替は,債務者が債権者に送金する並為替(送金為替)と,債権者が債務者から取り立てる逆為替(代金取立て)とに分けられる。また,債権者と債務者が同一国内にいる内国為替と,別の国にいる外国為替とに大別される。

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大辞林 第三版の解説

かわし【為替】

〔動詞「かわす(為替)」の連用形から〕
鎌倉・室町時代に行われたかわせ。替え銭せんのほか,米を用いる替え米まいがあった。 → かわせ(為替)

かわせ【為替】

手形や小切手によって貸借を決済する方法。離れた地域にいる債権者と債務者の間で貸借を決済する場合,遠隔地に現金を輸送する危険や不便を避けるために使われる。中世では「かわし」といい,銭のほか米などの納入・取引に利用された。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

為替
かわせ
exchange

隔地者間の金銭上の債権・債務の決済、あるいは資金移動を、現金の輸送をすることなく、第三者である金融機関を介して行う仕組みである。金融機関にとって為替業務は、預金、貸出と並ぶ固有業務の一つとされている。[太田和男]

歴史

こうした為替の仕組みは、ヨーロッパでは12世紀ごろにイタリアを中心とする地中海沿岸の都市で、バンコbancoとよばれる両替商によって行われ始めた。当時イタリアの商業の発達は目覚ましく、貿易も盛んであったが、隔地間取引の決済に貨幣を輸送することは不便であり、危険でもあったからである。さらに12~13世紀の十字軍遠征による人員、物資の大量移動に伴う遠隔地取引の増加によって為替はいっそうの発達をみた。
 日本における為替の起源は、鎌倉時代にまでさかのぼることができる。当初は「かわし」とよばれ、その仕組みは、依頼人が割符(さいふ)屋に金銭や米を渡して割符とよぶ為替手形を受け取り、この手形を支払指定地で支払人に渡し、引き換えに金銭や米を受け取るものであった。江戸時代になると、大消費地江戸と、全国的な商業中心地大坂とを結んで資金決済を行う「江戸為替」が急速に発達し、今日の為替の仕組みの原型が完成した。この時代の為替業務は両替商によって行われており、とくに1691年(元禄4)に幕府から御為替御用達の指定を受けた、いわゆる御為替十人組と三井、越後(えちご)屋などが中心となっていた。明治に入ると、1869年(明治2)に東京、横浜、大阪など8か所に為替会社が設立され、為替業務のほかに紙幣の発行、預金・貸付業務をもあわせて行ったが、その後の銀行制度の整備とともに、為替業務は主として普通銀行が担うようになった。[太田和男]

種類

為替は、取引の性格によって次のように分類される。
(1)資金の決済が国内で行われる場合を内国為替、国際間で行われる場合を外国為替という。
(2)資金の流れによって分類すれば、資金を債務者から債権者に送金する送金為替(並為替)と、資金を債権者が債務者から取り立てる取立為替(逆為替)とに分けられる。送金為替には、送金小切手によるものと振込みによるものとがあるが、現在、全為替取扱い量の多くは振込みである。また、この送金為替にはそれぞれ電信扱いと文書扱いとがある。
(3)為替取引の相手方が、同一金融機関内であるときには本支店為替、他行店舗である場合には他行為替という。[太田和男]

仕組み

為替取引の当事者としては、送金為替の場合には、依頼人、仕向(しむけ)銀行、被仕向銀行、受取人が存在し、取立為替の場合には、債権者(取立依頼人)、委託銀行、受託銀行、債務者(支払人)が存在する。為替取引には、依頼人と銀行との間の取引と、仕向銀行と被仕向銀行、委託銀行と受託銀行との間の取引とがあるが、法律的には、いずれも民法上の委任もしくは準委任と解釈されている。
〔1〕送金為替の仕組み まず、送金小切手による場合の仕組みをみてみよう。この送金小切手による方式は、受取人と被仕向銀行との間に取引関係がないときなどに用いられることが多い。依頼人甲が受取人乙に送金する場合の仕組みを示す。(1)甲は仕向銀行A銀行に送金資金と手数料を持参して、(2)送金小切手を受け取る。(3)甲は乙あてに送金小切手を郵送する。(4)A銀行は、被仕向銀行B銀行に対して、全国銀行データ通信システム(全銀システムと略称)利用のテレ為替によって、送金小切手が呈示されれば支払ってもらいたい旨、普通送金取組案内を発信する。(5)乙は、甲から受け取った送金小切手をB銀行に呈示して、(6)現金を受け取る。
 次に振込みによる方式であるが、これは、受取人が被仕向銀行に普通預金、もしくは当座預金の口座を有していることが前提となる。その仕組みは次のとおりである。(1)振込人甲は、A銀行に対し、受取人乙の取引銀行の口座に為替資金を入金するように依頼する。(2)仕向銀行A銀行は、被仕向銀行B銀行に対し、乙の預金口座に入金するよう通知する。(3)B銀行は乙の口座に入金する。この振込み方法には、文書交換による文書振込みと郵便により振込み票を授受するメール振込みとからなる文書為替と、全銀システム利用のテレ為替による振込みとがある。なお、複数件の振込みをまとめて1枚の振込み依頼書により行うものを総合振込みという。
〔2〕取立為替の仕組み 代金取立ての方式には、個別取立て、集中取立て、期近手形集中取立て(期日が切迫した手形の集中取立て)があるが、ほとんどは手形集中センター(集手センター)利用の集中取立てにより行われる。甲が遠隔地の乙に対して商品を販売した場合の代金取立ての仕組みを示す。(1)債権者(取立依頼人)甲は為替手形を振り出し、それを取引銀行A銀行に渡して、債務者(支払人)乙からの代金取立てを依頼する。(2)委託銀行A銀行は、それを自行の集手センターに送付する。委託銀行の集手センターは、受託銀行B銀行に対し、為替手形を郵送して代金取立てを依頼する。(3)取立ての依頼を受けたB銀行の集手センターは、手形を各受託店に送付する。各受託店は、直接あるいは手形交換などによって乙に手形を呈示し、(4)代金取立てを行う。(5)B銀行の集手センターは、取り立てた代金を全銀システムを通してA銀行の集手センターあてに資金付替(つけかえ)をする。(6)A銀行は取立依頼人甲の口座に入金する。この場合、甲は乙への送荷を運送業者に委託し、貨物引換証や船荷証券などを受け取り、これを担保として為替手形を振り出すのが通常である。なお、甲と乙との取引が国際間に及んでいる場合には外国為替となる。[太田和男]
為替取引契約
このような為替取引を行う場合、事前に契約なしに他の金融機関あてに送金案内、振込み通知の発信、あるいは取立てのための為替手形を送付しても、相手金融機関を拘束する権利は生じない。そこで、他の金融機関と為替取引を行おうとする場合には、事前に契約が必要となる。これが「為替取引契約」であり、この契約の相手方をコルレス先とよんでいる。日本の全国銀行内国為替制度における加盟銀行間の為替取引は、「内国為替取扱規則」に基づいて行われており、この取扱規則を遵守する旨の念書を提出することをもって、全加盟銀行の間で為替取引契約が締結されたものとして扱っている。[太田和男]
為替貸借の決済
日本の全国銀行内国為替制度における仕向銀行と被仕向銀行の為替貸借の決済は、テレ為替による分については、電文に基づいて全国銀行データ通信センター(全銀センターと略称)で集計され、為替取引の当日午後5時、日本銀行の本支店にある各加盟銀行の当座預金口座から引落しあるいは入金することにより行う。また、文書為替のうちの交換振込みによるものは、手形交換で決済される。[太田和男]

外国為替

為替取引が国際間で行われる場合を外国為替といい、その原理は内国為替と同じである。しかし、外国為替の場合は、貨幣制度を異にする国の間の取引であるから、為替相場の変動や為替政策上の制約などを受ける。日本では、従来、外国為替業務を扱うには大蔵省の認可が必要であったが、1998年(平成10)4月の外国為替及び外国貿易法(改正外為(がいため)法)施行で自由化された。[太田和男]
『全国銀行データ通信センター編『Q&A新しい内国為替実務』(1995・金融財政事情研究会) ▽松本貞夫著『実務内国為替入門』(1995・金融財政事情研究会、きんざい発売)』

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世界大百科事典内の為替の言及

【鎌倉時代】より

…問丸は元来荘園領主のために年貢輸送,保管,委託販売にあたる荘官であったが,一般商品をもあつかうようになり,商人的性格を強めた。日宋貿易で輸入された宋銭がしだいに流通し,訴訟費用・年貢米の輸送,貸借の決済を安全迅速に行うための為替もさかんになり,年貢を貨幣にかえて納めさせる銭納も多くなり,高利貸業者として借上(かしあげ)があらわれた。貨幣経済の発達に対応できず,所領を失って困窮する御家人がふえ,幕府体制を動揺させた。…

【票号】より

…中国の旧式為替銀行で,別に匯兌荘(わいだそう),票荘ともいうが,山西商人の経営するものが有力であったから,山西票号として知られる。古くから商業の発達していた中国では,この種の業務も古くから存在したはずであるが,文献的に確実なのは19世紀初め,山西省平遥県に本店をもつ日昇昌が最初である。…

【利子】より

…また定められた期限に返済が行われなかったとして,損害補償金の名目で利子が取得されることもあった。このような方法のうちで商業活動にとって最も重要であったのは,為替(外国為替)であった。これは,現地の貨幣を受け取ったものが外地において外国貨幣で返済するものであり,利子は両通貨の換算率の中に含まれる。…

【両替】より

…中心は本両替で享保(1716‐36)ころには三百数十軒,嘉永期(1848‐54)には3分の1に漸減した。本両替はおもに資金の預り,商人貸,大名貸,各種手形(振差紙,為替,預り,振出,約束,大手形,蔵預り)の発行,幕府・諸藩の公金取扱い,諸藩の掛屋蔵元などの任に携わり(鴻池家のように新田開発を行う者もいた),本来的な金銭両替はあまり行わず(十人両替も同様),小両替がこれにあたった。これら以外で特殊なものには堂島その他の米市場と結びつき,米商人の資金・帳合米商内(ちようあいまいあきない)証拠金の預りや米売買書による委託代金徴収を行った米方(こめかた)両替(遣来(やりくり)両替)および商品・蔵荷証を担保に貸付けをする入替(いれかえ)両替があった。…

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