改訂新版 世界大百科事典 「ツルマギ」の意味・わかりやすい解説
ツルマギ
turumagi
朝鮮で外套のようにいちばん外側に着る外出着の名称。男女両用。袍,周衣とも書く。朝鮮語の〈ツルマギ〉とは身体をまんべんなくおおうとの意である。方言ではフルマキともいい,これはモンゴル語のフルマクチからきたともいわれている。歴史的には新羅の〈尉解〉(上衣)からきたものとみえ,チョゴリの身の丈を130cmくらいに長くしたもので,高句麗壁画にもその原型がみえる。高麗時代には〈白苧袍〉として上下を通じて着用され,腰に帯(勒帛)があったが,現在のツルマギには帯がなく,結び紐があるだけである。李朝時代には〈直領袍〉として着用された。材料は自由で夏物はひとえの苧,冬物はみな二重でときには綿入れもある。19世紀末までは士大夫は〈道袍〉とよばれる袍を着て,このツルマギを庶民が着るものとして避けたが,旧韓末の衣服簡素令によりこれを着用しはじめた。現在は西洋式のオーバーなどに押されて礼服として着るほかはすたれかけている。
→朝鮮服
執筆者:金 東 旭
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報