日本大百科全書(ニッポニカ) 「ティリ」の意味・わかりやすい解説
ティリ
てぃり
Graf von Tilly, Johann Tserclaes
(1559―1632)
三十年戦争時代のドイツの旧教派の将軍。初めはネーデルラントでスペインのためにオランダ軍と戦い、1610年バイエルンの司令官に就任、三十年戦争勃発(ぼっぱつ)後は旧教派の軍事的指導者の役割を果たした。20年フリードリヒ5世のボヘミア軍をワイサーベルクに大敗させ、デンマーク王クリスティアン4世の参戦後の26年、その軍をルッターに破り、30年ワレンシュタインの罷免後は皇帝軍総司令官となった。31年スウェーデン王グスタフ・アドルフとブライテンフェルトに戦って敗れ、ついで32年レヒ河畔の戦いで再度敗北、重傷を負って死亡。厳格な将軍で、「甲冑(かっちゅう)を着た修道僧」とよばれた。
[中村賢二郎]