てこクランク機構(読み)てこくらんくきこう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「てこクランク機構」の意味・わかりやすい解説

てこクランク機構
てこくらんくきこう

4個のリンクから成り立っている四節回転機構で、一つのリンクが回転運動をし、他のリンクが往復運動をする機構。4個のリンクa、b、c、dからなる(の上)。リンクdを固定したとき、リンクaをAを中心として回転させると、リンクcはDを中心として往復角運動をする。リンクcをてことよび、この機構をてこクランク機構という。リンク装置の基本形で、リンクの長さおよび固定するリンクによって多くの異なる運動を導くことができる。たとえばリンクcの長さをゼロにしたものは、スライダー・クランク機構(の下)といい、蒸気機関内燃機関シリンダーピストンに応用されている。形削り盤の早戻り機構もこの応用例である。

[中山秀太郎]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のてこクランク機構の言及

【クランク機構】より

…図1のような,4本の棒(リンクあるいは節と呼ばれる)を結合した装置を四節回転機構というが,リンクaを固定して,リンクbを回転させるとcおよびdは往復運動をする。このとき固定点(B)のまわりに360度回転するbをクランク,固定点(A)を中心として往復運動をするdをてこといい,このような機構をてこクランク機構と呼ぶ。図2ではa,c両リンクとも固定点のまわりに360度回転するので二重クランク機構と呼ばれる。…

【リンク装置】より

…三つのリンクからなる三節回転機構では相対運動は不可能でそれ自身が剛体と同じになるし,五節回転機構では,一つのリンクを固定するほかに,二つのリンクの動きを定めなければ運動は一義的には定まらない。 固定されたリンクのピンのまわりに回転運動するものをクランク,往復角運動(揺動運動)をするものをてこというが,四節回転機構では,どのリンクを固定するかによって機構の動きが大きく異なり,てこクランク機構,両クランク機構(二重クランク機構ともいう),両てこ機構の種類がある。図2において,いずれもリンクA,B,C,Dの長さをそれぞれa,b,c,dとし,cadb,adbc,cdabの関係にあるものとする。…

※「てこクランク機構」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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