ピストン(英語表記)piston

翻訳|piston

デジタル大辞泉 「ピストン」の意味・読み・例文・類語

ピストン(piston)

内燃機関蒸気機関シリンダー内を往復運動する円板状または円柱状の部品。流体から圧力を受けたり、流体を圧縮したりしてエネルギーの授受を行う。プランジャー
半音階が吹奏できるように、金管楽器に取り付けられた管長を変える装置。
休みなく往復を繰り返すこと。「送迎バスをピストンで運転させる」
[補説]1は、同じ構造をした小規模・小サイズの器具についてもいう。注射器の内筒など。

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精選版 日本国語大辞典 「ピストン」の意味・読み・例文・類語

ピストン

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] piston )
  2. 蒸気機関、ポンプなどの円筒内にはめこまれ、内壁に密着しながらその中を往復運動する扁平または筒型の栓状のもの。筒内の流体の圧力によって運動を起こしてその力を外部に伝えたり、逆に外力によって運動し筒内の流体に圧力を伝えたりする。また、ピストン棒、あるいはピストンを内装するシリンダー(気筒)を含めてもいう。活塞(かっそく)。ラム。プランジャー。〔舶用機械学独案内(1881)〕
  3. 半音階を吹奏できるように、金管楽器にとりつけられた管長を変える装置。
    1. [初出の実例]「スライド・トロンボンを取って〈略〉その細長いピストンを、いろいろと辷らせ、動かしていた」(出典:シベリヤ物語(1950‐54)〈長谷川四郎〉舞踏会)
  4. 休みなく往復すること。

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改訂新版 世界大百科事典 「ピストン」の意味・わかりやすい解説

ピストン
piston

流体の圧力を受け,あるいは流体を圧縮しながらシリンダー内を往復運動し,流体との間にエネルギーの授受を行う往復式機械の主要部分。円板もしくは比較的高さの低い円筒形状のものが多い。この往復運動と回転運動の変換は,一般の往復式内燃機関のように,連接棒クランク機構によるのがふつうであるが,油圧ポンプなどでは斜板機構も用いられる。また連接棒がピストン本体のもつピストンピンに直接連結されるもの(トランク型)とクロスヘッドおよびピストンロッドを介して連接棒が連結されるもの(クロスヘッド型)とがある。後者には,ピストンとシリンダー間に不要な反力を生ずることがない,ピストンの両側で仕事をさせる(複動式機関)のにつごうがよいなどの利点があるが,高速機関には不向きであり,蒸気機関のすたれた現在では,舶用大型低速機関にしか適用されていない。中・小型の機関のうち,高速機関ではピストンの質量の小さいことが肝要で,アルミ合金製のものが好まれる。これに対し比較的大型のディーゼルエンジンでは,質量よりも,機械負荷,熱負荷などに対する耐久性が重視され,ピストン頂部もしくはピストン全体を鋳鉄あるいは鋳鋼で製作する。ピストンに付随して重要な働きをするのはピストンリングで,ピストンとシリンダー間の気密,潤滑,伝熱(放熱)を受けもつ。ピストンリングは,ピストンの外周に設けられたリング溝にはめられる鋳鉄もしくは鋼製のリングで,自己張力によりシリンダー内面に対して接触圧力をもつ。一般に気密保持を担う圧力リングと潤滑油燃焼室への侵入を防ぐ油かきリングが併用される。
執筆者:


ピストン
Walter Piston
生没年:1894-1976

アメリカの作曲家,音楽教育家。ハーバード大学で学んだのち,パリでN.ブーランジェデュカースに師事。1926年母校の講師になり,44-60年音楽教授として後進の育成に貢献した。《和声学》(1941),《対位法》(1947),《管弦楽法》(1955)などの著書は教科書として広く用いられている。作曲家としては,八つの交響曲をはじめ器楽作品が多く,堅実な構成をもつ音楽を得意とした。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピストン」の意味・わかりやすい解説

ピストン(機械部品)
ぴすとん
piston

シリンダー内を往復運動し、流体の圧力を受けて機械的エネルギーに変換するか、加えられた機械的エネルギーにより流体に圧力を加えたり膨張させたりする円板状または円筒状の機械部品。注射器もシリンダーとピストンで構成される器械である。ピストンは往復動内燃機関、蒸気機関の出力変換部の主要部分であり、また各種の往復動ポンプ、圧縮機の主要部分でもある。ピストンとシリンダーの間は普通はリング(ピストンリング)を入れ、漏れを防止する。とくに内燃機関などでは自己張出し式のピストンリングを用いて高圧ガスの漏れを防止している。またとくに高圧を必要とするポンプなどでは精密に仕上げたシリンダーとピストンを直接接触させて漏れを防止する。ピストンの形状は用途に応じて異なるが、機能上次の三部分からなる。(1)ヘッド部 流体の高圧を受けるピストンの天井で、高温ガスと接触する場合には材質、形状にとくに注意してつくられている。(2)リング部 2~4本程度のリングをピストンの溝にはめ込んだ部分。ピストンとシリンダー間の気密を保ち、ピストンが高温にさらされるときは、ピストンの受けた熱をシリンダーに伝える役割を担う。また潤滑しているときには、過剰な潤滑油をかき落とす。(3)スカート部 ピストンの側圧を支える部分。ピストンピンにより側圧の加わる方向が限定されているときは、その方向にスカートを長くし、それと直角の方向はスカートを省略することもある。

[吉田正武]



ピストン(Walter Piston)
ぴすとん
Walter Piston
(1894―1976)

アメリカの作曲家。ハーバード大学音楽学部を卒業後パリに留学(1924~26)し、デュカース、ナディア・ブーランジェに作曲を学ぶ。帰国後、母校で教鞭(きょうべん)をとり、バーンスタインらの後進を育てた。新古典主義的作風を示し、主要作品に、八曲の交響曲、バレエ曲『不思議な笛吹き』(1938)、ビオラ協奏曲(1957)など。また音楽理論書『和声学』(1941)、『対位法』(1947)、『管弦楽法』(1955)などは教科書として広く用いられている。

[寺田兼文]

『戸田邦雄訳『管弦楽法』(1967・音楽之友社)』

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百科事典マイペディア 「ピストン」の意味・わかりやすい解説

ピストン

米国のイタリア系作曲家,音楽教育家。画家を志したのち音楽に転じ,ハーバード大学で作曲を学ぶ。1924年−1926年パリでN.ブーランジェデュカースに師事し,帰国後の1926年母校講師となり1944年−1960年教授。E.C.カーターバーンスタインらを教えた。米国の新古典主義を代表する作曲家の一人で,8つの交響曲(1937年−1965年)のほか,バレエ音楽《ふしぎな笛吹き》(1938年)などの多くの管弦楽作品,室内楽曲がある。著書に《和声学》(1941年),《管弦楽法》(1955年)など。→M.アンダーソン

ピストン

内燃機関,往復ポンプなどのシリンダー内を往復運動する円柱状または円板状の部品。エンジンの燃焼ガスのエネルギーを取り出し,またポンプでは取り扱う液体に圧力を加える。
→関連項目ピストン・クランク機構プランジャー

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ピストン」の意味・わかりやすい解説

ピストン
piston

往復機関またはポンプのシリンダ内を往復運動する円筒状の部分。往復機関ではピストンの上昇により空気あるいは混合気を圧縮し,燃焼ガスの力により押下げられ,その力はピストン棒または連接棒 (コネクティング・ロッド) を経てクランク軸に伝えられ,動力として取出される。シリンダとの間の気密を保つために,外周に数個のピストンリングがはめこまれる。ピストンは高い温度と圧力を受け,高速運動をするので,熱膨張の少い,熱伝導のよい軽い金属が用いられることが多い。回転ピストン機関ではガス圧を受けるロータの部分をピストンと呼ぶこともある (→ロータリーエンジン ) 。

ピストン
Piston, Walter (Hamor)

[生]1894.1.20. メーン,ロックランド
[没]1976.11.12. マサチューセッツ,ベルモント
アメリカの作曲家。マサチューセッツ美術学校に学んだのち,ハーバード大学で音楽を専攻。 1924年パリに留学し,N.ブーランジェに作曲を師事。 26年帰国,ハーバード大学講師,44年教授。その間 28年ボストン交響楽団により『交響的作品』が紹介され,成功を収めた。クーリッジ賞,ニューヨーク批評家賞,ピュリッツァー賞などを受賞。著書『和声法』 Harmony (1941) ,『対位法』 Counterpoint (47) ,『管弦楽法』 Orchestration (55) 。主要作品はバレエ音楽『不思議な笛吹き』 (1938) ,交響曲7曲。

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ピティナ・ピアノ曲事典(作曲者) 「ピストン」の解説

ピストン

アメリカ合衆国の作曲家。新古典主義的な作風が特徴である。ピアノと室内管弦楽のための小協奏曲の他、交響曲やヴィオラ協奏曲、弦楽四重奏やバレーのための作品を創作した。
イタリア系のピストンは当初、画家 ...続き

出典 (社)全日本ピアノ指導者協会ピティナ・ピアノ曲事典(作曲者)について 情報

世界大百科事典(旧版)内のピストンの言及

【コルネット】より

…(2)近代以降のコルネットcornet 郵便馬車などの信号用であった小型のポストホルンを改良し,弁をつけた金管楽器。弁の方式が楽器自体の別称にもなり,コルネタ・ピストンまたはピストンともいう。トランペットより音は柔らかく甘い。…

【内燃機関】より

…内燃式は燃料と空気の混合物よりなる作動流体そのものを着火・燃焼させ,高温高圧の作動ガスを得る方式である。内燃式のうち作動流体を一定容積のシリンダー内で燃焼させ,ピストン・クランク機構(またはローター偏心軸機構)により膨張仕事を取り出すことを繰り返す方式を容積形といい,一方,作動流体を燃焼室内で連続的に燃焼させ,得られた高温・高圧の燃焼ガスを高速で回転羽根車にふきつけて仕事を取り出す方式を速度形という。いずれの方式も作動流体の冷却は,これを大気(低温熱源)へ放出することにより行っている。…

※「ピストン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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