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古くは幾何学における円柱を意味したが,その後,円柱の外周である円筒面の意味合いが強くなり,一般に円筒面で構成される形状をもったものを指すようになった。液体の容積計量に使われるメスシリンダーはその例である。現在では機械部品として,ピストンと組み合わせてのシリンダー,すなわちピストンの往復運動の案内となる中空円筒をもった部分,あるいは部品を指すことが多く,一般の往復ピストン式内燃機関のシリンダーのほか,往復式圧縮機のもの,また油圧・水圧・空気圧機械における同様な部分が典型的である。
往復式内燃機関の場合,シリンダーの日本語訳は気筒で,1個のシリンダーからなるものを単シリンダー機関,あるいは単気筒機関,単筒機関と呼ぶ。また多シリンダー機関において,そのシリンダーの配列の型式によって,直列型,V型,対向型,星型などと区別することもある。多シリンダー機関の場合,いくつかのシリンダー部分を一体に鋳造した構造とすることが多く,これをシリンダーブロックと呼ぶ。また,こうした構造物にじかに加工してピストンの案内しゅう動面を構成したのでは剛性や耐久性が不足する場合,シリンダーライナーという比較的薄肉の円筒を挿入して,その内面をしゅう動面とすることが多い。シリンダーの一端はピストン頂部とで燃焼室を形づくるが,主として製作の便宜からこの部分を別部品として,シリンダーにふたをした形にするのがふつうで,これをシリンダーカバー,あるいはシリンダーヘッドと呼ぶ。シリンダーに求められるのは,何よりも案内しゅう動面としての機能を維持することであり,その円筒形状の精度が高く,変形が少ないように設計,加工に特別な注意が必要であるほか,その摩耗,潤滑油の消費の観点からも,材料,加工,潤滑,冷却の各面に慎重な配慮が求められる。
執筆者:酒井 宏
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内燃機関、蒸気機関、ポンプなどで、ピストンが中で往復運動する筒。気筒ともいう。往復動内燃機関ではシリンダー内で燃料と空気の混合気を燃焼させ高い圧力を得、往復動蒸気機関では高圧の蒸気をシリンダー内に吹き込み、ともに得た高圧でピストンを動かして出力を得る。ポンプでは外からピストンを動かし高圧を得る。そのために、ピストンが一つのときは、対面するようにシリンダーの一端を閉じる。ピストンを二つ用いるときは、二つのピストンを対面させ、ほぼ対称的に動くようにする。またピストンとシリンダーの間に漏れ止めのリングをつける。これをピストンリングpiston ringという。
大きな出力を必要とするときは、多数のシリンダーを直列、V形、対向形、W形、星形のように並べ、互いの位相を調節し振動を抑える。シリンダーは耐熱・耐食性をもたせるために特殊鋳鉄などでつくり、高温になるときは外側を冷却する。
[吉田正武]
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…平面上の図形Fの各点を一端として,一定の長さと方向をもった線分をこの平面の一方の側につくるとき,これらの線分によってできる図形を柱といい,Fを底,各線分を母線という(図)。各母線のもう一つの端点はFののっている平面と平行な一つの平面上にあって,Fと合同な図形F′を描くが,F′も底と呼ぶ。とくに立体となる柱を柱体という。柱体の底をふつう底面といい,二つの底面間の距離を高さという。柱体の体積は(底面の面積)×(高さ)で与えられる。…
…内燃式は燃料と空気の混合物よりなる作動流体そのものを着火・燃焼させ,高温高圧の作動ガスを得る方式である。内燃式のうち作動流体を一定容積のシリンダー内で燃焼させ,ピストン・クランク機構(またはローター偏心軸機構)により膨張仕事を取り出すことを繰り返す方式を容積形といい,一方,作動流体を燃焼室内で連続的に燃焼させ,得られた高温・高圧の燃焼ガスを高速で回転羽根車にふきつけて仕事を取り出す方式を速度形という。いずれの方式も作動流体の冷却は,これを大気(低温熱源)へ放出することにより行っている。…
※「シリンダー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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