日本大百科全書(ニッポニカ) 「リンク装置」の意味・わかりやすい解説
リンク装置
りんくそうち
いくつかの細長い棒をピン継手(つぎて)で連結し、一定の拘束運動を行うようにつくられた機械部分。ピン結合のような回り対偶を両端にもつ細長い剛性の棒をリンクといい、リンク装置はそれを組み合わせたものである。リンクの組合せ方、拘束の与え方などにより種々の運動を行わせることができる。機械の各部の運動、その伝達、動力伝達など広く使用され、ほとんどすべての機械にリンク装置は利用されている。
リンク装置の基礎となるのは四節回転機構で、回り対偶の単節4個からなっている。長さの異なる4個のリンクのどれを固定するかによって、いろいろの運動を各リンクに行わせることができる。最短リンクは、これと対偶する固定節に対して完全に回転できる。これをクランクという。また、固定節の周りの往復角運動をするものをレバー(てこ)という。ピン結合した四つのリンクのうち最長のリンクを固定すると、それに隣り合っている二つのリンクは、一方はクランク、他方はレバーとなる。これをてこクランク機構という。往復運動を回転運動に変えたいとき、またはその逆の場合に利用される。てこクランク機構でてこの長さを0としたスライダークランク機構は、蒸気機関、内燃機関などに応用されている。リンク装置は運動伝達が確実なうえ、多種多様の運動を導くことができるので、早戻り機構、直線運動、平行運動、間欠運動、自転運動その他特殊な軌跡を与える運動などに広く応用されている。
[中山秀太郎]