改訂新版 世界大百科事典 「テヘラン考古学博物館」の意味・わかりやすい解説
テヘラン考古学博物館 (テヘランこうこがくはくぶつかん)
Iran Bastan Museum, Teheran
イランの首都テヘランの官庁街の一角にある同国最古,最大の博物館。1930年ころ,フランスの都市計画家・考古学者ゴダールAndré Godard(1881-1965)を初代館長として開設。建物は煉瓦造の2階建てで,1階に先史時代からササン朝ペルシア時代,2階にイスラム時代の遺物が展示されている。このほか2階に,アルダビール廟旧蔵の中国磁器の大コレクション,マルリク,ジビエなどの先史時代墳墓から出土した黄金製品,銀製品,青銅器を収蔵展示した宝物室がある。収蔵品には,イラン高原の彩文土器,ルリスタン青銅器,アケメネス朝の金・銀の容器,宮殿装飾の彫刻,セレウコス朝,アルサケス朝のヘレニズム的な青銅・石製の彫刻,ササン朝の緑釉陶器,さはり,銀器,カット・グラス,モザイクなど,イラン美術を代表するものが多い。イスラム美術では7~16世紀のペルシア陶器,ガラス器,細密画(ミニアチュール),じゅうたん,フレスコなどがある。
執筆者:田辺 勝美
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