日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルリスタン青銅器」の意味・わかりやすい解説
ルリスタン青銅器
るりすたんせいどうき
Luristan
1920年代末から、イラン南西部のルリスタン地方で出土した特殊な青銅器をいう。住民の盗掘によって市場に出現したものがほとんどで、学術的な調査を経たものはない。出土品の大部分は石造の竪穴(たてあな)墳墓からのもので、大石の蓋(ふた)があり、墳丘の周りはストーン・サークルがあったと伝えられる。出土品は動物の飾りをつけた斧(おの)や、剣、鏃(やじり)、馬具、車飾りなどで、その種類は非常に多い。またピンや化粧道具も多い。この青銅器は、北西のカフカス方面の文化と密接な関係をもっているように思われ、その動物意匠から騎馬民族のものであると考えられる。出土品が盗掘品であるために、編年、絶対年代の決定はむずかしいが、青銅器の大部分は紀元前8~前7世紀にかけてのものと推定される。
[糸賀昌昭]