細密画(読み)サイミツガ

精選版 日本国語大辞典 「細密画」の意味・読み・例文・類語

さいみつ‐が‥グヮ【細密画】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 東洋美術で、対象を緻密にこまごまと描写した絵画のこと。たとえば奈良時代の彩絵(さいかい)、ペルシャ・インドの宮廷絵画など。密画
  3. 西洋中世の、主に写本に発達した緻密な描法の絵画。ミニアチュール。
    1. [初出の実例]「冷静なコジモ・デ・メディチが美麗な細密画に涙ぐむほど」(出典:安土往還記(1968)〈辻邦生〉三)
  4. フランスで一五世紀に始まった細密な手法の肖像画顔料には主にエナメルを用い、羊皮紙、金属象牙などに描かれた。ドイツのホルバイン(子)の作は有名。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の細密画の言及

【イスラム美術】より

…挿絵入りの写本の種類は,自然科学書にとどまらず,史書,文学書,宗教書などにも及んでいる。画冊に含まれる作品や写本の挿絵類は,その緻密な技法から,ミニアチュール(細密画)の名で呼ばれることもある。写本の製作には,絵師のほかに書家,彩飾師,箔置師,装丁師などの職人が当たった。…

【イラストレーション】より

…写本のイラストレーションは三つの要素からなっている。第1はミニアチュール(細密画)で,今日の口絵にあたる。第2はヒストリエーテッド・イニシャルhistoriated initialといわれるもので,文章の初めの文字が装飾化され,人や動物が描きこまれる。…

※「細密画」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android