化学辞典 第2版 「テルル化ビスマス」の解説
テルル化ビスマス
テルルカビスマス
bismuth telluride
一般には,Bi2Te3であるが,そのほかにBi14Te6(hedleyite,六方晶系)や,合成で得られたBiTe,Bi2Teがある.Bi2Te3(800.76)は,天然にはテルルビスマス鉱(tellurobismuthite)として産出する.計算量のBiとTeとを石英ガラス管中で数日間,475 ℃ に加熱すると得られる.灰色の三方晶系板状結晶.融点585 ℃.密度7.74 g cm-3.蒸気はニンニク臭があり,有毒で眼や皮膚をおかす.半導体で,Bi過剰でp型に,Te過剰でn型になる.電気抵抗率3.3×10-4 Ω cm.バンドギャップ0.13 eV(300 K)で狭い.熱伝導率は小さく,熱起電力が大きい.半導体として電子工学材となる.たとえば,熱電冷却素子,熱電発電素子などに用いられる.[CAS 1304-82-1:Bi2Te3]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報