日本大百科全書(ニッポニカ) 「デメニギス」の意味・わかりやすい解説
デメニギス
でめにぎす / 出目似義須
barreleye
[学] Macropinna microstoma
硬骨魚綱ニギス目デメニギス科に属する海水魚。東北地方の太平洋岸、北太平洋の亜寒帯海域から温帯海域に広く分布する。頭部背面が透明なカプセル状で、そのなかにある円筒の上に目があり、上を向いている。カプセルのなかは液で満たされ、両眼を保護する。体は側扁(そくへん)し、高くて短い。吻(ふん)はとがり、眼径よりも短い。口は著しく小さく、目のはるかに前方までしか開かない。下顎(かがく)は上顎より突出する。鱗(うろこ)は円鱗(えんりん)で、きわめてはがれやすい。背びれと臀(しり)びれは体の後方に位置し、背びれの後端は臀びれの始部よりも後ろにある。水深400~800メートルの中層域にすむ。体は暗褐色。体長は15センチメートルほどになる。底引網できわめてまれにとれる。2008年にアメリカのモントレーベイ水族館研究所のROV(遠隔操作で動く水中探査機)がカリフォルニア州モントレー湾でデメニギスを生きたまま捕獲し、筒の上にある上向眼が前方に向かって回転することを初めて発表した。
[尼岡邦夫]