ROV(読み)アールオーブイ

デジタル大辞泉 「ROV」の意味・読み・例文・類語

アール‐オー‐ブイ【ROV】[remotely-operated vehicle]

remotely-operated vehicle水上の操縦者が有線または無線により遠隔操作する無人潜水艇遠隔操作ビークル水中ドローン。→エー‐ユー‐ブイ(AUV)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ROV」の意味・わかりやすい解説

ROV
ろぶ

遠隔操作によって動く無人探査機の通称。おもに深海を調査するシステムのビークル部分をさす名称で、Remotely Operated Vehicleの略である。アールオーブイともよぶ。遠隔操作型無人探査機と総称される場合が多いが、正式な名称ではなく、各開発メーカーで異なる名称が使われている。

 通常のROVは、深海調査船より一次ケーブルランチャー、二次ケーブルを介して結ばれ、母船と光ファイバーケーブルを介した制御装置によって操作される。上昇や下降は推進器(スラスター)やおもりの調整によって行われる。大きさは、最大潜航深度7000メートルの「かいこう7000Ⅱ」の場合、全長3メートル、幅2メートル、高さ2.1メートルで、重さは3.9トンにのぼる。ROVには、観察用のテレビカメラや海底で簡単な作業のできるマニピュレーター地形などを観測するソナーをはじめ、水質や温度などを測定する機器やセンサーが目的に応じて装備されており、このほかに照明のハロゲンライト、無線中継器、高度計、ジャイロ、アルゴス送信機などの安全装置が搭載されている。深海の調査では、ROVが海底付近に達すると、浮遊状態で深度を保ちながら観察や調査が行われる。調査が終わると、スラスターか、おもりを切り離すなどして海面まで上昇する。

 ROVは、深海での救助活動や機雷掃海などの軍事目的で1960年代にアメリカで開発され、その後、海底の油田やガス田の調査・開発を支援する民間企業でも使用されるようになった。

 日本では、領海内において海底熱水鉱床コバルト・リッチ・クラストレアアース泥メタンハイドレートなどの希少な鉱物資源やエネルギー資源が、相次いで確認されたことから、1万メートルを超える大深度で探査活動を行い、複雑な地層でも資源を掘削することのできるROVや水中ロボットの開発が国家戦略として急がれている。

[編集部]

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知恵蔵 「ROV」の解説

ROV

ケーブルで母船につながれ、ウインチで目的の深さまで降ろして使用する。ケーブルは母船から探査機まで電力と各種の指令を送り、海底の映像や情報をリアルタイムで船上に伝送する。マジックハンドを備え、海底で機器設置や物品回収などの諸作業が行える。目的に応じて、到達可能水深と性能は多種多様。世界中で数百機が研究用、及び商業ベースで稼働。海洋研究開発機構のかいこう、ハイパードルフィン、フランスのビクトール、米国のジェイソン、ベンタナ、スーパー・スコーピオなどが有名。

(小林和男 東京大学名誉教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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