改訂新版 世界大百科事典 「デュムーラン」の意味・わかりやすい解説
デュムーラン
Charles Dumoulin
生没年:1500-66
フランスの法学者。ラテン名はモリナエウスCarolus Molinaeus。パリで貴族の家柄に生まれる。オルレアン大学で法学を修得,1521年同大学で教鞭をとったが,翌年にはパリのパルルマン(最高法院)で弁護士となる。熱烈な王権支持論者で,プロテスタント(一時カルバン派,のちルター派)として教皇からのフランス教会の自由を主張するにとどまらず,これを王権に従属せしめようとした(ガリカニスム)。また封建制に反対し,地域的に雑多な慣習法を整理してパリ慣習法を中心とする法の統一を目ざした。カトリック教徒やカルバン派,パルルマンを拠点とする旧封建領主勢力と激しく対立し,再三パリ脱出を余儀なくされ,ドイツに逃れてチュービンゲンで教授をつとめる(1553)など波乱に富んだ生涯を送った。著作はローマ法,カノン法(教会法),慣習法の各分野にわたるが,主著は《パリ慣習法注解》(第1部1539,第2部1558)。デュムーランは後世のフランス法の発展に大きな影響を与えたばかりか,国際私法学上の貢献でもよく知られている。
執筆者:佐々木 有司
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報