化学辞典 第2版 「トナー現像」の解説
トナー現像
トナーゲンゾウ
toner development
電子写真の静電潜像を,着色した微粉末(トナー)で静電吸着させて現像(可視化)する方法.【Ⅰ】乾式法:比較的低融点の合成樹脂に,染料や顔料を混合した粒径1~10 μm 程度のトナー粒子と,キャリヤーとよばれるガラス球あるいは鉄粉などの200~500 μm 程度の粒子とを混合した現像剤を用いる.トナーはキャリヤーと接触,摩擦することによって帯電し,静電力で潜像部分に吸着する.キャリヤーを用いずにトナーだけを潜像に与える方式もある.感光層に現像剤を与える方法には,カスケード法とマグネットブラシ法がある.カスケード法:トナーとガラス球のキャリヤーが感光層表面を流れて現像する.マグネットブラシ法:トナーと鉄粉キャリヤーからなる現像剤を磁化させ(磁気ブラシ),感光層表面を掃引して現像する.このほか,特殊な方法として,トナー粒子をエーロゾルとし,感光層表面に吹きかけて現像するパウダークラウド法などもある.トナー像の定着は,加熱または加圧によって行われる.これらは一般的な現像法であり,複写機などに使われている.【Ⅱ】湿式法:分枝パラフィンなどの高抵抗,低誘電率の液体中にトナーを分散させて用いる現像法(液体現像法)で,トナー像の転写を行わない製版用などに使われる.定着は液中に加えられたポリマーの皮膜形成によって行われる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報