化学辞典 第2版 「キャリヤー」の解説
キャリヤー
キャリヤー
carrier
【Ⅰ】[同義異語]担体の【Ⅰ】.【Ⅱ】トレーサー濃度の放射性核種は,その化学的性質がマクロ量の濃度であるときの元素,分子,イオンの性質と異なってくることがある.このようなときに,その放射性核種と同じ原子番号の元素やその元素を含む同じ化合物,もしくは放射性核種と化学的性質が似た物質として添加されるものをキャリヤーという.キャリヤーの添加によって,比放射能のような放射性核種に特有の仕様は変化するが,化学的にはキャリヤーと同じ挙動を示す効果がある.放射化学分離の目的でよく利用される.【Ⅲ】電解酸化(または還元)において,電極面で直接酸化(または還元)を行うかわりに溶液本体のなかで化学的な酸化(または還元)反応を行い,電流効率を上昇させる物質のこと.セリウム,バナジウム,チタンなどのように2種類以上のイオン価をもつ遷移金属がよく用いられる.また,一般に,物質中で電流を運ぶはたらきをする荷電粒子,準粒子,イオン,電子はキャリヤーである.半導体では,正孔と電子が電流を運ぶキャリヤーと考えている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報