とりよろう(読み)トリヨロウ

デジタル大辞泉 「とりよろう」の意味・読み・例文・類語

とり‐よろ・う〔‐よろふ〕

[動ハ四]語義未詳。とりわけてよいさまであるの意とも、すべてのものが集まり整うの意とも、宮の近くに寄っているの意ともいう。
大和には群山むらやまあれど―・ふあめ香具山」〈・二〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「とりよろう」の意味・読み・例文・類語

とり‐よろ・う‥よろふ

  1. 〘 自動詞 ハ行四段活用 〙 ( 「とり」は接頭語か )
  2. 語義未詳。
    1. [初出の実例]「大和には 群山(むらやま)あれど 取与呂布(とりヨロフ) 天の香具山」(出典万葉集(8C後)一・二)
  3. ( の「万葉」例から ) すべてにそなわって足りている。
    1. [初出の実例]「たち並ぶ 二つの山は ふたとすら かけごとすらも とりよろひ 開きたちなみ」(出典:賀茂翁家集(1806)二)

とりよろうの補助注記

「よろう」が不明なため、諸説ある。( イ )「装(よそ)う」の意で、草木が美しく茂るの意。( ロ )「鎧(よろい)」と同語源で、峰・谷・岩・木などすべてが具足して満ち足りるの意。( ハ )「寄ろう」で、高市岡本宮の近くにそばだつの意。( ニ )「鍪与呂比」〔華厳経音義私記〕から、群山を回りにめぐらして身を固めているの意、など。

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