トン数標準税制(読み)とんすうひょうじゅんぜいせい

知恵蔵 「トン数標準税制」の解説

トン数標準税制

外航海運業者の法人税について、実際の利益ではなく積載能力に基づいて「みなし利益」を算定する方法で海外16カ国が導入。欧米・韓国などで導入された結果、日本との間で税負担の大きな差が生じた。とくに好景気時に大幅な減税効果がある。 外航海運業界の要望を受けて国土交通省も税制改正要求に盛り込んだ。財務省との調整次第だが2008年度から日本船籍船を対象に導入される見通しだ。 一方でコストが割高な日本船籍船や日本人船員は減り続けている。ピークの1972年に1580隻あった日本籍船は2005年に95隻。外航海運各社が運航する約2000隻のうち5%に過ぎない。 日本人船員も1974年の約5万7000人から2005年に2625人まで減少。低コストで能力もある外国人船員が9割強を占める。 しかし、好況の影響で船長、機関長といった上級船員を中心に世界的に不足し、確保合戦が激しくなっている。そこで国交省は08年度から日本の外航海運会社に、船員の増加目標を盛り込んだ計画を作らせ、国交相が認定する新制度を設ける。日本人船員を10年間で1.5倍程度に増やすことが目標だ。 新制度では各社が具体的な増加計画をつくり、国交相に認定されないとトン数標準税制の適用を受けられないようにして、取り組みに実効性を持たせる。 国交省は船員供給国で大規模災害政変が起こるといった「非常時」でも、日本の社会生活を支える国際的な物資輸送を保つためには、日本人船員が5500人ほど必要だと試算している。

(松村北斗 朝日新聞記者 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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