ドイツの現代写真(読み)どいつのげんだいしゃしん(その他表記)contemporary German photography

知恵蔵 「ドイツの現代写真」の解説

ドイツの現代写真

1990年代以降、世界的に大きな影響を与えているのがドイツの現代写真である。70年代からデュッセルドルフの芸術アカデミーで教鞭をとっていたベルントとヒラのベッヒャー夫妻は、彼らの、厳密なコンセプトに基づいて撮影を進めていくタイポロジーの方法論を学生たちに伝えていった。そこからトーマス・シュトルート、トーマス・ルフ、アンドレアス・グルスキーといった作家たちが育っていくことになる。彼らベッヒャー派の写真家たちの仕事は、80年代後半以降に現代美術の領域で評価されるようになり、その大判プリントのシリーズが各国の美術館で展示されるようになる。さらに90年代になると他のヨーロッパ諸国やアメリカ、日本などでもベッヒャー派の影響を受けた作品が目立つようになった。2005年にはベッヒャー夫妻を始めとして、ドイツの現代写真家たちの代表作を集成した「ドイツ写真の現在」展が東京国立近代美術館を皮切りに、京都、香川県丸亀を巡回して注目を集めた。

(飯沢耕太郎 写真評論家 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android