日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナガレトビケラ」の意味・わかりやすい解説
ナガレトビケラ
ながれとびけら / 流石蚕
流飛螻
rhyacophilid caddi
昆虫綱トビケラ目ナガレトビケラ科に属する昆虫の総称。アフリカを除く世界中に分布。日本にはオオナガレトビケラ属Himalopsyche1種、ツメナガトビケラ属Apsilochorema1種と、ナガレトビケラ属Rhyacophila50種以上が分布し、もっとも種類数の多いトビケラの一つである。成虫は、褐色ないし黒色、前翅(ぜんし)に斑紋(はんもん)のある種類もあるが、じみな色彩である。前翅長は約15~30ミリメートル、中・小形のトビケラ。幼虫は、ほかのトビケラとは異なり、巣や網をつくらない。蛹化(ようか)前に絹糸様物質を分泌して蛹室(繭)をつくる。河川に分布するが、山地渓流に多くの種類がみられる。おもに肉食性。トビケラのなかでは比較的原始的な種類。近縁グループのヤマトビケラ科の幼虫は、砂粒をつづり合わせてドーム状の可携巣をつくる。
[谷田一三]