日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナジモワ」の意味・わかりやすい解説
ナジモワ
なじもわ
Алла Назимова/Alla Nazimova
(1879―1945)
ロシア生まれのアメリカの女優。クリミア半島のヤルタに生まれる。設立まもないモスクワ芸術座を経て、ペテルブルグで女優としての地位を築く。1905年欧米巡演に出発し、翌年ニューヨークでイプセンの『ヘッダ・ガブラー』に主演、斬新(ざんしん)な演技で絶賛を浴びる。以来アメリカに居を定め、多彩な演技力と異国的美貌(びぼう)で一時代を画した。1920年代に演劇界を一時離れて映画界入りし、『椿姫(つばきひめ)』(1921)、『人形の家』(1922)、『サロメ』(1923)などに主演、人気を博した。演劇界復帰後もイプセンやチェーホフ劇を中心に活躍し、とりわけオニールの『喪服の似合うエレクトラ』(1931)での名演技は、いまなお語りぐさとなっている。
[一ノ瀬和夫]