ヤルタ(読み)やるた(英語表記)Ялта/Yalta

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤルタ」の意味・わかりやすい解説

ヤルタ
やるた
Ялта/Yalta

ウクライナ南部、クリミア半島南岸にある保養都市。黒海に面する港湾都市でもある。人口8万2000(2001)。クリミア半島中心部のシンフェロポリから南へ86キロメートルにあたり、その間をバス、トロリーバス、シャトル便のヘリコプターが結ぶ。クリム山地を北側に背負い、平均気温は7月約24℃、1月約4℃、年降水量は約700ミリメートルと、気候温和である。海水浴シーズンは6月初旬~10月初旬だが、冬季に北国ロシアからやって来る人が多く、避寒地として知られる。クリム山脈南麓(なんろく)から海岸にかけて、ホテル、ペンション、保養所、サナトリウムなどが、疎林やブドウ畑の中に散在している。観光産業以外では、ぶどう酒(商標名「マッサンドラ」は国外でも著名)、ブランデーなどの醸造土産(みやげ)品製造、食品加工などが行われる。また農業技術学校、医学校、醸造試験場、転地療養医学研究所、映画撮影所、チェーホフの住居記念館などがある。1945年2月のヤルタ会談は、海を見下ろすリバディヤ宮殿で行われた。

渡辺一夫

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヤルタ」の意味・わかりやすい解説

ヤルタ
Yalta

ウクライナ南部,クルイム自治共和国の都市。クリミア半島 (クルイム半島) 南岸,黒海にのぞむ港湾都市。クリミア山脈南麓にあり,山脈により冷たい北風,北東風がさえぎられ,温暖な気候に恵まれるので,19世紀後半以降,保養地として発展した。6~10月に海水浴が可能で,多くのホテル,サナトリウム,保養施設が海岸,山麓に林立し,市域が拡大している。近郊でブドウそのほかの果樹,タバコの栽培が盛んで,市内にその加工工場や水産加工工場があり,なかでもワイン醸造コンビナート「マサンドラ」は著名である。またブドウ栽培・ワイン醸造研究所,気候療法研究所,チェーホフ博物館,郷土博物館などの施設がある。首都シンフェローポリの南約 50kmにあり,トロリーバス,ハイウェーで結ばれ,海港には多くの客船が出入りしている。 1945年2月4~11日,市のリバジヤ宮殿 (現在博物館) で開かれたアメリカ,イギリス,ソ連3国の首脳による会談は,ヤルタ会談として知られる。人口8万 9000 (1991推計) 。

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