ナタラージャ(その他表記)Naṭarāja

改訂新版 世界大百科事典 「ナタラージャ」の意味・わかりやすい解説

ナタラージャ
Naṭarāja

舞踏家の王〉の意で,ヒンドゥー教主神の一つであるシバ神の別称。ナテーシュバラNaṭeśvaraとも呼ばれる。シバ神演劇および舞踊創始者守護神とみなされ,現在のインド舞踊に際しても祈念され,片足を上げて踊るシバ神のポーズが演じられる。シバの熱狂的な激しい踊りは〈ターンダバtāṇḍava〉と呼ばれる。後代,彼の踊る姿を描いた彫像が盛んに作られ,現在でも南インドのみやげ物として数多く鋳造されている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ナタラージャ」の意味・わかりやすい解説

ナタラージャ
Naṭarāja

「舞踊の王」という意味。インド神話シバ神の異名,またその像。シバの活動は強く激しく宇宙律動とつながって作用するといわれ,ナタラージャはそれを象徴的に表現したもの。シバの踊りには 108のポーズがあり,それらは9つの型に分類されるが,いずれも宇宙の創造維持破壊幻惑解放などのシバの機能を象徴するものである。遺品としてはエローラ窟院,エレファンタ窟院に彫刻されたものが傑作として知られ,また南インドの青銅彫刻にも優品が多い。

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世界大百科事典(旧版)内のナタラージャの言及

【シバ】より

…常にヒマラヤ山中で苦行していたが,苦行の妨害を企てた愛の神カーマを,額にある第三の眼から発射した火焰で焼き殺したとされる。また舞踊の創始者とされ,ナタラージャNaṭarāja(踊り手の王)と呼ばれている。ブラフマーが世界創造神,ビシュヌが世界を維持する神であるのに対し,シバは世界破壊神である。…

【インド神話】より

…彼は牡牛ナンディンを乗物とする。彼はまた舞踊の創始者とされ,ナタラージャ(〈踊り手の王〉の意)と呼ばれる。さらに,世界を破壊するときに,恐ろしい黒い姿をとるので,マハーカーラMahākāla(大黒)と呼ばれる。…

【シバ】より

…常にヒマラヤ山中で苦行していたが,苦行の妨害を企てた愛の神カーマを,額にある第三の眼から発射した火焰で焼き殺したとされる。また舞踊の創始者とされ,ナタラージャNaṭarāja(踊り手の王)と呼ばれている。ブラフマーが世界創造神,ビシュヌが世界を維持する神であるのに対し,シバは世界破壊神である。…

【ヒンドゥー教美術】より

…シバには魔神を退治する激しい面と恩沢を与える温和な面とがあり,幅広い活動に応じて種々の姿をとる。本尊としてまつられるときはリンガ(男根)の形をとり,ナタラージャと呼ばれる舞踏像の作例も多い。以上の主神のほかに多数の男女の神々があり,低級神や魔神も少なくなく,神々の世界は広くその構成も不規則である。…

※「ナタラージャ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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