破壊(読み)はかい(英語表記)fracture

翻訳|fracture

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

破壊
はかい
fracture

物体に応力が作用して,二つの部分またはそれ以上に分離することを破断 ruptureという。物体にいったん亀裂が発生し,その亀裂が進展してついには破断することを破壊といい,破壊にはいたらなくても,ある大きさの変形が生じて所要の機能を失う場合を破損 failureという。たとえば,弾性の状態が要求されるものに対して塑性変形(→永久ひずみ)の開始は弾性破損になる。破壊現象は非常に複雑で難しく,まだ完全に解明されてはいないが,巨視的な取り扱い(物体内の欠陥や切り欠きの寸法以上を対象)では,破壊条件として次の 4説が有力である。(1) 最大剪断応力説 物体内の主剪断応力が物体固有の限界値に達すると,破損・破壊が生じるという説。(2) 剪断ひずみエネルギー説 物体内の単位体積あたりのひずみエネルギーが固有の限界値になれば破損・破壊が起こるという説。(3) 最大主応力説 物体内の主応力のうち,いずれかがある限界値に達したときに破損・破壊が生じるという説。(4) 内部摩擦説 圧縮荷重負荷時に,面上の剪断応力とその内部摩擦力の差が限界値に達したときに破損・破壊が起こるという説。延性材料に対しては (1) (2)が,脆性材料に対しては (3)が適用され,一般の鉄鋼材料では (1)と (2)の中間において,また鋳鉄や石膏のようなもろい材料では (3)に近い条件で破損・破壊が生じる。脆性材料に圧縮荷重が作用するときは (4)が適用される。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル大辞泉の解説

は‐え〔‐ヱ〕【破壊】

やぶれこわれること。やぶりこわすこと。はかい。
「御所の―したるを修理(しゅり)して」〈平家・六〉

は‐かい〔‐クワイ〕【破壊】

[名](スル)建造物・器物・秩序・組織などをこわすこと。また、それらがこわれること。「堤防を破壊する」「環境破壊

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典 第2版の解説

はかい【破壊 failure】

固体材料が,外力の作用のもとに二つ,またはそれ以上の部分に分離する現象をいう。このときの応力(単位断面積当りの荷重),すなわち破壊応力破壊強さ,または破壊強度という。とくに平滑材料を引張り,あるいは曲げ変形した場合の破壊強さを,それぞれ引張強さ,曲げ強さと呼び,破壊を取り扱うもっとも基本的な値となる。 破壊現象は,材料自身の特性,負荷の条件および化学的環境により,さまざまな形態に分類することができるが,原子レベルで見れば,原子間結合がへき開,またはせん断(すべり)により分断される現象である。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

はえ【破壊】

〔「え」は呉音〕
こわすこと。こわれること。破壊はかい。 「塔婆を-せんと云ふ悪念をおこし/正統記 武烈

はかい【破壊】

( 名 ) スル
こわすこと。また、こわれること。 ⇔ 建設 「家屋を-する」 「自然を-する」 「環境-」 → 損壊(補説欄)

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

精選版 日本国語大辞典の解説

は‐え ‥ヱ【破壊】

〘名〙 (「え」は「壊」の呉音) =はかい(破壊)
※正倉院文書‐天平五年(733)隠岐国正税帳「正倉伍拾間 破壊一間」
※高野本平家(13C前)六「御所の破壊(ハヱ)したるを修理して」

は‐かい ‥クヮイ【破壊】

〘名〙 器物、建物、組織などをやぶりこわすこと。また、やぶれこわれること。はえ。
※到津文書‐弘安元年(1278)一二月四日・宇佐大宮司宇佐公有下文案「右、件庄々者、為有限之御炊殿、而為勤造、以去安元年中一円庄号神領之以降、毎破壊之期、令造勤者例也」
※近世紀聞(1875‐81)〈染崎延房〉一一「岬の暗礁に触て遂に其船破壊(ハクヮイ)に及び」 〔史記‐匈奴伝〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

栄典制度

社会に対する功労者の栄誉を表彰するために国法上与えられる特殊な地位に関する制度。大日本帝国憲法時代には,爵,位,勲章および褒章があり,その授与は天皇の大権事項であった(15条)。日本国憲法下にいたって...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

破壊の関連情報